熱中症対策のドリンクは「スポーツドリンク」「経口補水液」どちらがいい? 医師が解説
暑さが本格化してきて、すでに熱中症対策している人が多いと思います。 しかし、「熱中症予防の飲み物って結局どれがいいのかわからない」「熱中症になった時と予防するための飲み物は違うの?」「熱中症対策の飲み物って自分で作れる?」などと、疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。 【イラスト解説】「熱中症」の危険な症状と対策法 そこで、熱中症の飲み物や今からできる熱中症予防について「SUGAR」の佐藤先生に回答してもらいました。 【この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております】
熱中症予防におすすめの飲み物は? 経口補水液は熱中症予防にはダメ?
編集部: はじめに、熱中症予防におすすめの飲み物について教えてください。 佐藤先生: 熱中症予防対策の水分補給としておすすめなのが、「0.1~0.2%の塩分を含む飲み物」です。これは、汗で失われる塩分と水分の割合が同じ程度という理由からです(※汗の塩分の濃度は環境や個人によって大きく異なる場合があります)。 暑い環境で体を動かして汗をかくような人は、水分と塩分を補給するために塩分の濃度がナトリウム40~80mg/100ml、または、0.1~0.2%の食塩水の成分で、スポーツドリンクに近い飲み物がおすすめとされています。 ※厚生労働省 熱中症予防情報サイト「職場の熱中症予防に努めましょう!」 https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/ic_rma/2301/mat05_3.pdf 編集部: あまり汗をかかないという人についてはどうでしょう? 佐藤先生: 涼しい環境で汗をあまりかかないという人の場合には、そこまで塩分を失わず塩分補給が不要な場合が多いため、塩分をほとんど含まない水や麦茶などがおすすめです。 また、最近では周知の事実になってきていますが、コーヒーや緑茶、紅茶などカフェインを含む飲み物は、利尿作用によって脱水になってしまうので水分補給としてはおすすめできません。 編集部: スポーツドリンクの成分に近い飲み物がおすすめとのことですが、熱中症予防として経口補水液はダメなのですか? 佐藤先生: 熱中症予防の飲み物として経口補水液はダメではないのですが、一番におすすめというわけでもありません。理由としては、経口補水液は熱中症予防するために必要とされている濃度の1.5~2倍の塩分の濃度で少し濃いためです。 高血圧の人は血圧が高くなってしまう可能性もあるため注意が必要です。熱中症予防として経口補水液を飲むなら水で半分に薄めて飲むとちょうどいい場合が多いですね。 編集部: 経口補水液を原液のまま薄めずに飲むのはよくないのですか? 佐藤先生: 熱中症の前兆や症状などがなく、元気な人の場合には薄めて飲んだほうがいいケースが多いと思います。しかし、熱中症になりかけだったり熱中症が疑われたりする時には、薄めず原液のまま飲むのがおすすめです。 理由は、先ほどお伝えしたように経口補水液は塩分の濃度が高いため熱中症や脱水症が疑われる人の水分補給に適した塩分濃度のためです。 ただ、経口補水液は飲むだけで熱中症や脱水症になりかけている症状が治る万能アイテムではないので、通気性と透湿性がよく涼しい環境で、脇や股関節などの血管が近い部分を冷やしながら、できれば横になってしっかり休むことも重要です。