良くも悪くも自分次第、意志と決断力が高みに連れていく。レースエンジニアの実態をローソン、岩佐と組んだMUGEN小池氏に聞く|モタスポ就職白書
エンジニアに求められる「意志の強さと決断力」
では、レースエンジニアとして求められる人材とは、どのようなものなのか? 「レースエンジニアとして重要なのは、意志の強さと決断力かなと思います」 「“自分”を持っていることは大事だと思います。トラックエンジニアは、あるセットアップが良いと思っていても、(データ分析を担当する)パフォーマンスエンジニアから『そうだね』という同意は必要ありません。『ここは違う』『こうした方がいい』という議論が生まれないと、僕が間違えたら終了なので。それは僕と一瀬(岩佐のチームメイト、野尻智紀を担当する一瀬俊浩エンジニア)の間でも同じです」 「日本人というのは、“同調圧力”という言葉があるように同調しがちだと思いますが、自分の意見があるかどうかは大事ですね。その方が自分のためになるし、そういうものを自分は求めています。そこで議論が白熱してもそれは全然良くて、否定されたからその人のことが嫌いになることもないですから」 また気になるエンジニアの待遇面については「どこまで求めるかにもよりますが、食べていけないことはないと思います。トラックエンジニアになると給料も上がりますし、ドライバーと同じでその人の能力によってはどんどん上を目指せるかなと思います」と語る小池エンジニア。M-TECでは現在レースエンジニアを募集しているが、その募集要項にも、想定年収(20歳~35歳)という形で「350万円~800万円」と開示している。これも、少しでも情報をオープンにしたいという思いからだという。 レース業界のさらなる人材流入に向けて、小池エンジニアはこのようにインタビューを締め括った。 「食べていけない業界でもないですし、最近は休みも取れるようになっています。当然、その休める中で何をするかというプラスアルファの部分はありますが、恥じるものもないので、業界についてSNSなどでどんどん情報を発信していかないといけないと思います」 M-TECの2025年度新卒採用は既に終了しているが、キャリア採用、契約社員採用、パート採用において幅広い職種の人材が募集されている。詳しくは同社のリクルートページを参照いただきたい。
戎井健一郎