なぜ高倉監督は”世界一”メンバー鮫島を外し平均年齢24.6歳のヤングなでしこで東京五輪を戦う決断をしたのか
さらにつけ加えれば、2年前の女子ワールドカップを、北村、塩越、27歳のFW田中美南(神戸)を除いた15人が経験した。大会連覇を果たしたアメリカに対抗してヨーロッパ諸国が急速に台頭し、そのなかで準優勝したオランダ女子代表に決勝トーナメント1回戦で敗れた悔しさと、最新版の世界勢力図を脳裏に刻んでいる。 「世界の女子サッカーはいま、レベルアップのスピードが非常に速い。フィジカル的な要素を前面に押し出してくるチームが多いなかで、自分たちの武器で戦っていくことを忘れずに、選手たちには伸び伸びと世界一へ挑戦してもらいたい」 陣容が決まり、2011年のなでしこジャパンに追いつき、追い越せを合言葉とした戦い方もあらためて定まったと高倉監督は力を込めた。さらに57年前の前回東京五輪では実施されていなかった女子サッカーの戦いを、未来へつなげる意義も説いている。 「今回のチームを見た子どもたちが、なでしこが持つサッカーへの思いを感じて、いつの日かまたなでしこのバトンを受け取ってもらえるようなものを作るためにも、バックアップメンバーを含めた22人でいい結果を残したい」 リオデジャネイロ五輪銅メダルのカナダ、高倉監督の就任後で1ゴールも奪えずに3連敗中のイングランド、そしてチリとのグループリーグをまずは突破するために。短い期間でもまだ伸びる余地があると指揮官が自信を寄せるなでしこジャパンは、カナダとの初戦(札幌ドーム)までちょうど1ヵ月となる21日から最後の調整に入る。 (文責・藤江直人/スポーツライター)