日本上陸を果たした「メルセデス G 580 with EQ Technology」は究極のオフローダーなのか?
だが個人的には、優しく柔らかい運転感覚や乗員に伝わる人肌のようなぬくもり感は、G450dの方が上だしどちらが魅力的かと聞かれたならば、迷わずにこちらを選びたい。今回はG580のサイボーグのような圧倒的なパフォーマンスと質量に、ひ弱なドライバーが負けた、ということなのかもしれない。昭和生まれの古い人間といわれればそれまでだが、ディーゼルエンジンの音に守られながら、大きな機械を操る快感という意味において、そう簡単にはBEVには席を譲らない、そんな言葉さえ聞こえてきそうなG450dの完成度であった。 なおG450dよりも150㎜上回る渡河性能だが、今回準備された程度の「水たまり」では差異は感じ取れなかった。どちらも一切の不安を感じないまま、きっちりシールされたドアからは一切の水の侵入もみられず、あのドアの閉まり感はこういう時に発揮されるのかと感銘を抱いた。やはり今も昔もゲレンデヴァーゲンの最も魅力のある部分は、このボディである。
では最後に、皆さん興味津々のGターンはどうだったかというと……完全に停止した状態で走行モードをスイッチで「ロック」に変え、ブレーキを踏んでNボタンを押してローレンジを選択し、ローレンジに設定されたことを知らせるオレンジと赤のランプを確認してから、ブレーキを踏んだままセレクターレバーをDにして、センターコンソールのGターンボタンを押し、回転したい方向のパドルシフトをひいたまま、とにかくしっかりとギューと全力でステアリングを握ったまま、ブレーキをリリースし、アクセルペダルを全開にすると、上限2回転だけGターンは開始される。(以上のように、操作はなかなか煩雑で、難しい)。
メルセデス・ベンツでは公道でのGターンを「行ってはいけない」としているし、路面に傾斜があって車輛が傾いていても作動しない。Gターンそのものは、きっと皆さんの想像よりもかなり速い速度で行われるが、3トンもの質量をもつ巨大な自動車が、その場で無理やりコマのように回らされる姿は、自動車やタイヤのことを想うと可哀そうで、あまり素直に楽しいとは喜べないものであった。
大林晃平 / アウトビルトジャパン
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