洞窟住居群、ワイン、街道歩き……魅力あふれる南イタリア・バジリカータ州
イタリア南部バジリカータ州のマテーラには合計3000を超す洞窟住居群がある。岩肌にもともとあった洞窟を使ったり、長い年月をかけて新たに掘った洞窟に作ったりした住居の数々は、壮観というほかない。 カトリックの修道士たちが作った礼拝堂も点在。1993年には「マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園」として世界文化遺産に登録され、観光地化も進んでいる。 この一帯には、旧石器時代から人が住んでいたという。洞窟住居群の周辺には、飲食店や美術館や博物館などの文化施設も多い。2019年には、欧州連合(EU)諸国の様々な文化行事を展開する「欧州文化首都」にも選ばれた。
マテーラでは古来、良質のデュラム小麦(硬質小麦)が作られてきた。マテーラ名物「マパーネ・ディ・マテーラ」(マテーラのパン)は、地元産小麦を細かく挽いた粉で作られる。また、南イタリアでは、古代ローマ時代から栽培されていると伝わるブドウ品種「アリアニコ」などを使った赤ワインも有名だ。 今年9月に開催されたツーリズムEXPOジャパン2024の機会に、バジリカータ州のヴィート・バルディ知事が来日、イタリア政府観光局(ENIT)ブースのテープカットに参加した。
バルディ知事は、日本の印象について「とても、とても美しい国」で、非常に秩序だっていると述べた。そして、日本人観光客に対しては、バジリカータ州で、「歩いて、食べて、飲んで、楽しんでほしい」と呼びかける。 イタリアでは今年「アッピア街道」が世界文化遺産の仲間入りした。古代ローマ時代に、ローマとイタリア半島南東部の港町ブルンディシウム(現在のブリンディジ)を結ぶ全長約580キロの石畳の道は、農業や商業を発展させ、ローマ帝国の強大化を支えた。 この街道はバジリカータ州のマテーラがある一帯も通過する。アッピア街道の近くで「アリアニコ」も生産されているので、街道を「歩き」、郷土料理を「食べ」、アリアニコを原料にした赤ワインを「飲み」、楽しんでほしい、というわけだ。