浮気・不倫がやめられない…「セックス依存症」かも? 8つの診断基準を医師が解説
浮気・不倫がやめられないのは「セックス依存症」が原因?
編集部: 浮気・不倫がやめられないのは、病気の可能性もありますか? 秋谷先生: そうですね。前述のとおり浮気や不倫を繰り返すのは、それぞれの「理由」がありますが、「セックス依存症(性依存症)」の可能性があります。セックス依存症は、性的な衝動や行動をコントロールできず、日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼす状態です。アルコールや薬物依存と同様に、専門的な治療やカウンセリングが必要となることがあります。もし心当たりがある場合は、専門の医療機関やカウンセラーに相談することをおすすめします。 編集部: セックス依存症の定義や診断基準について教えてください。 秋谷先生: セックス依存症は「性的な思考、欲求、衝動、または行動をコントロールすることができず、その結果、個人的な生活、仕事、人間関係、または健康に悪影響を及ぼす状態」と定義されています。セックス依存症の正式な診断基準は、現時点で精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)に含まれていませんが、一般的には以下の基準が用いられます(※4)。ただし、セックス依存症の診断は、精神科医や臨床心理士などの専門家によっておこなわれるので、一般人が診断してはならない点には注意してください。 ■過去6カ月間、以下のうち3つ以上を満たす。 ・性的な活動に関連することに多くの時間を費やす。 ・性的な活動への欲求や衝動が強迫観念のようになっている。 ・性的な活動をコントロールしようと繰り返し試みるが失敗する。 ・性的な活動をおこなうことで、仕事、学校、家庭などにおける重要な義務を放置(neglecting)する。 ・性的な活動によって、対人関係の問題が生じている。 ・性的な活動によって、身体的または精神的な健康問題が生じている。 ・性的な活動によって、著しい苦痛または機能障害が生じている。 ・これらの症状は物質(例:薬物)、またはほかの医学的状態(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。 編集部: セックス依存症の原因はなんですか? 秋谷先生: セックス依存症の原因は、いくつかの要素が絡み合っています。まずは心理学的な問題が考えられます。具体的には、幼少期のつらい経験や愛情不足、自分に自信が持てない気持ちが、依存につながりやすくなります。また、ストレス解消の手段として性的行動を繰り返す場合もあり、ほかの依存症や強迫的な行動と似た傾向もみられます。 編集部: ほかにもありますか? 秋谷先生: 脳科学的な異常があるケースも考えられます。例えば、セックス依存症では特定の神経伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)のバランスが乱れることで、欲求を抑えられなくなることがあります。また、性的刺激に対する反応が過剰な人では、大脳の腹側線条体や扁桃体などの特定の神経回路が異常に活性化することが確認されています。このように、セックス依存症は単にメンタルの問題ではなく、脳の問題の可能性もあるのです。 編集部: 「セックス依存症かもしれない」と思ったときのチェックリストやセルフチェック方法はありますか? 秋谷先生: 以下のチェックリストでどれくらい当てはまっているか、確認してみてください。3つ以上当てはまる場合は、セックス依存症の可能性があります。ぜひ専門の医療機関を受診してみてください。 ■セックス依存症を疑うチェックリスト ・1日の大半を性的な動画の閲覧や性的なチャットに費やしている。 ・仕事中や勉強中でも性的な思考が頭から離れず、集中できない。 ・性的な衝動を抑えられず、不適切な場面で性的な行動をとってしまう。 ・性的な活動を「もうやめよう」と決意しても、数日後にはまた同じ行動を繰り返している。 ・性的な活動のために遅刻や欠勤が増え、仕事の評価が下がっている。 ・性的な活動が過剰すぎて友人や家族から心配され、関係が疎遠になっている。 ・性感染症に感染したことが複数回ある。 ・性的な行動が原因で、うつ病や不安障害の症状が表れている。 ・性的な衝動を抑えられない自分に対して、強い罪悪感や自己嫌悪を覚える。