わが友人、ホームレス、テントに暮らす荒川の釣り名人。奇跡が起きることを祈っている
まるで青い別荘...器用な桂さんが作るテント小屋
次に、桂さんの「住宅」について話す。彼は少なくとも大きさの異なるテントの小屋を4つ張っていた。2つは住居用、1つは客間、もう1つは倉庫として使っている。 川の対岸から桂さんのテント群を眺めると、まるで青く連なった別荘のようである。これは彼の手先の器用さのおかげだろう。 桂さんが張ったテント小屋は風にも雨にも強く、丈夫で長持ちしている。仲間うちでは、彼は建築士出身かもしれないとひそかに噂されている。 次に桂さんの食事について。彼は川辺に住んでいて、釣りも得意なので、魚が食べたくなったら、少し歩いた場所にある釣りスポットに行く。一番好きな魚はハゼだという。 エビを食べたければ、十数メートル離れた川辺にあるコンクリートブロックの所まで取りに行くこともできる。彼はそこにエビを捕獲するための網を設置しており、入り込んで出られなくなったエビが調理されるのを待っている。 新鮮なタケノコを食べたくなったら、もっと簡単に手に入れることができる。竹林に潜り込んで何本か切り、皮をむいて煮て、塩を振ると、さっぱりしたおかずになる。 彼のテントの周りには、クルミの木、柿の木、桑の木もある。これらの木の実が成熟したら、摘む必要はなく、地面に落ちているものを拾えばそのまま食べられる。 桂さんは最近、竹林のそばでセロリも見つけたと言っていた。セロリを入れてギョーザを作れば、きっとおいしいに違いない。 もちろん、これらの果実や野菜には旬の季節があり、食べたいときにいつでも食べられるわけではない。ホームレスの生活には冷蔵庫もないので、保存もできない。 5月中旬、私が寿司と飲み物を持って桂さんのところに食事をしに行ったとき、私はこう聞かれた。「新鮮なタケノコと桑の実を奥さんと子供に食べさせたいですか?」 私はもちろん「食べさせたい」と答えた。 「待ってください」と言って、スコップを持ち、隣の竹林に潜り込んだ桂さん。あっという間に新鮮なタケノコを8本掘って持ってきた。 その後、彼はテントのそばの桑の木から成熟した桑の実を摘んで、一緒に包んでくれた。収穫時間は20分しかかからなかった。 桂さんはおいしいものがあるときに人と分かち合うのが好きだ。ある時には、彼が川から捕まえたばかりの大きなスッポンを他の釣り仲間に渡している場面を見た。しかもお金を受け取らない。 だが彼らには暗黙の了解がある。この釣り仲間はきっと、家に帰ってスッポンを使ったおいしい料理を作った後、桂さんに一部を分け与えて「返す」のだろう。