元お笑い芸人・著名個人投資家の井村俊哉氏らが新投信「fundnote日本株Kaihouファンド」立ち上げ
2025年1月、元お笑い芸人で著名個人投資家の井村俊哉氏らが投資助言する公募投資信託が立ち上がる。井村氏は株式投資を始めて以来、累計80億円もの利益を上げた実績を持つスゴ腕投資家だ。個人投資家としての活動に区切りをつけ、資産運用ビジネスに集中するのはなぜか。その狙いや立ち上げまでのストーリーを、井村氏および彼と共に運用助言に携わる竹入敬蔵氏に聞いた。 【関連画像】竹入敬蔵[たけいり・けいぞう]氏、1986年生まれ。東京大学の株サークルで株式投資を学ぶ。2009年東京大学経済学部卒、同年ゴールドマン・サックス証券に入社しアナリストとして従事。11年に国内独立系運用会社でのアナリストを経て、18年にシュバイツェルインベストメントの立ち上げに参画し、ポートフォリオマネージャーとして従事。21年より専業個人投資家として活動しながら、誰もが自分の好きで貢献できる社会を理想とし、株式投資を生涯の仕事とすべく、Kaihouを共同設立(写真=竹井俊晴) 2年ほど前から準備を進めてきたそうですね。これまでの成功を捨ててまで、資産運用ビジネスにこだわる理由は何なのでしょうか。 井村俊哉氏(以下、井村氏):そんなに難しい話じゃないです。世の中の役に立ちたいという気持ちは、誰もが持っているものです。自分の愛する株式投資で、誰かのために貢献できる世界って、それはもう、理想なのではないでしょうか。なので崇高な理念を掲げていますが、単純に自分の好きなことで誰かの役に立ちたいという気持ちがあるだけです。 私は19年から、動画配信を通じて投資の普及・啓発を進めるべく、Zeppy(ゼッピー、東京・千代田)という会社をつくって活動してきました。でも本当は、一発目から「ニッポンの家計に貢献する」投信を立ち上げたいという思いがあった。個人資産が順調に積み上がっていっても、その気持ちは変わるどころか、強くなる一方でしたね。しかし、「いきなりファンドをやるのは難しいよ」という周囲のアドバイスに従い、まずはできることから始めようと、動画配信事業をやっていたという感じでした。 新しい投信、「fundnote日本株Kaihouファンド」は、新興運用会社のfundnote(ファンドノート、東京・港)が、井村さんと竹入さんが共同で立ち上げた投資助言会社、Kaihou(カイホウ、東京・港)の助言に基づき運用する形態です。投資助言の形を取るに至った背景を教えてください。 井村氏:最初は投資運用業の取得を目指していました。自前のライセンスでの運用を目的に、会社も立ち上げていました。でも、投資家のお金を預かるだけあって、投資運用業に課される規制やハードルは非常に高くて。厳格な法令順守に対応しなければなりませんし、基準価額の計算をできる体制も整備しなければいけない。運用会社を1つ立ち上げるには、ものすごい数の関係者とのやり取りが必要であることが分かりました。 竹入敬蔵氏(以下、竹入氏):いい銘柄を探せばおのずといいファンドになるんじゃないか、くらいに思っていました。でも、それを実現するための「土台」すなわち経営面に対する意識が足りていなかったのです。そこは何とかなるでしょう、そんなことより決算書を読んでいたい、銘柄探しをしていたい、みたいな感じになってしまって。いつまでたっても何も決まらない状態でした。 井村氏:なめていましたよね。運用さえできればいいと思っていました。ずっとこんな調子でしたので案の定、ある出来事をきっかけに竹入さんと議論がかみ合わない問題が勃発しまして。12時間座りっぱなしで、画面越しに言い争ったことがありました。人間って、何も飲まないで、一度もトイレにも行かないで12時間座っていられるのだなと思った(笑)。 この件もあって、今の組織体では自分たちが理想とするファンドは到底実現できないなと感じ、その会社は畳みました。 一方で、助言という形ならば、公募投信を手がける運用会社とタッグを組み、助言を通して日本の家計に貢献できる可能性がある。ミッションを実現するためには、運用会社を立ち上げるよりも、助言業に徹した方が自分たちの強みも発揮できるという判断を最終的に下しました。