田村淳さんが「虫垂炎」で緊急手術 前兆や初期症状、早期発見するには? 医師が解説
お笑い芸人・ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが12月23日に「虫垂炎」の緊急手術をおこなったことを自身のX(旧・Twitter)にて報告しました。 【イラスト解説】虫垂炎の前兆となる初期症状とは 虫垂炎は一般に「盲腸」と呼ばれる疾患で、放置しているとお腹全体の強い痛みが生じます。いったい、どのような前兆・初期症状が起こり、早期発見につなげることができるのでしょうか。医師の大坂先生に詳しく伺いました。
虫垂炎の概要
虫垂炎(急性虫垂炎)は、「腹痛」を主な症状とする腹部の救急疾患の代表的な1つです(参考文献1)。俗語で「盲腸」、また英語で Appendicitis というため、略して「アッペ」と呼ばれているのを聞いたことがあるかもしれません。 虫垂は「盲腸」と呼ばれる小腸から大腸に移行した部分に存在する、細長いヒモのような構造物です。大腸内と交通していて、糞石などで虫垂内腔が詰まることで虫垂炎が生じます。 炎症の程度に応じて、カタル性・蜂窩織炎性・壊疽性に分類され、カタル性虫垂炎は比較的軽度の炎症である一方、壊疽性虫垂炎は虫垂壁が壊死し、穿孔するリスクがある状態です。 年齢層については、若い10~20歳代で発症する人が比較的多いですが、全年齢層で発症する可能性があります。症状として右下腹部痛を生じる事が多いですが、心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)や食欲不振、悪心・嘔吐のみの場合もあります。 また、虫垂炎を生じた患者の約20%で穿孔(腸に穴が開く)が生じ、重症化することがあります。治療は原則として手術ですが、軽症例では抗菌薬の投与のみで軽快することもあります(参考文献1)。
虫垂炎の原因
虫垂内腔が閉塞し、それに血流障害・腸内細菌の感染が組み合わさることで虫垂炎が生じます。閉塞の原因として、糞石(硬い便の塊)のほか、結石、食物中の異物、感染そのもの、腫瘍、リンパ濾胞などがあげられます。 虫垂が閉塞すると、内腔は粘液で満たされて膨張し、内腔・壁の圧が上昇します。その結果、小血管の血栓症と閉塞、リンパの流れの停滞が起こります。リンパと血管の障害が進行すると、虫垂の壁は虚血状態になり、壊死に至ります。