レクシー・トンプソンがツアー活動に終止符 「これまでのことは一生忘れない」
<CMEグループ・ツアー選手権 最終日◇24日◇ティブロンGC(米フロリダ州)◇6700ヤード・パー72> 大好きなレクシーとハグ【写真】 米国女子ツアー通算11勝、メジャー大会1勝を誇るレクシーが地元フロリダでラストラウンド。トータル2アンダー・49位タイで締めくくると、最終9番グリーンではホールアウトしてから大きな花束が贈呈され、大きな歓声に包まれた。試合後の会見では心境について語った。 「これまでのことは一生忘れない。私を支えて、愛してくれた友人、家族、ファン、スポンサーには本当に感謝している」と自身のキャリアを応援してきた全員に感謝の言葉を送ると、涙を流した。「コースでは弱さを見せないようにしてきた。それが時々辛かったけど、みんな通る道。どれだけ感情を抑えて、人に打ち明けられるかだと思う。今は感情を素直に感じられている」。アスリートとして常に勇敢な姿勢を見せてきたレクシーが初めて弱さを見せた。 今大会では兄・ニコラスがキャディとしてバッグを担いだ。「タフな1週間だったけど、特別だった。自分のゴルフがあまりできなくて、大変だったかもしれないけどニックがそばにいてくれたおかげで心強かった」。ツアー最後の試合は兄妹で戦った。 レクシーは2007年、「全米女子オープン」の予選会を史上最年少の12歳で突破。“天才少女”として一躍脚光を浴びた。3年後にプロ転向すると、14年「クラフト・ナビスコ選手権」でメジャー初制覇を成し遂げた。16年には「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で日本ツアー初優勝を挙げている。 これまで米女子ツアーで残してきた功績は「何よりも大切」と語る。「もちろん優勝や達成してきたことは今の自分を形成しているけど、それよりももっと大きなインパクトを残したかった」。ゴルフを始める子どもたちのロールモデルとして大きな影響をあたえてきた。会場ではファンの声援に応え、サインには笑顔で応じる姿はゴルフをすること以上に恩返しの大切さを示してきた。 涙ながらに話したレクシーだが、12月13日から開催される米男子ツアーと米女子ツアーの共催大会「グラントン・ソーントン招待」に出場予定だ。 同じく、マリナ・アレックス(米国)も今大会限りでの電撃引退を発表。18番グリーンにはそれを知っていた家族や友人が集まり、ラストプレーを見守った。「自分のキャリアをできる限りポジティブな形で終わらせたかった。引退少し前から考えていたから私の親しい人たちにとっては驚きじゃなかったと思う」とコメント。11月の日米共催大会「TOTOジャパンクラシック」では竹田麗央と6ホールに及ぶプレーオフで敗れたが、トータル15アンダー・2位で終えた。 「ここ数年はタフだった。今年で11年目だけど、ここにいるみんなについていくために、全力を尽くした。自分のベストで終われたことは幸せだし、それは誰もが手に入れられるものじゃない。本当に感謝しているし、何にも変えられない」と今までを振り返った。今後について聞かれると、「時が経てば次の道は見えてくると思う。ゴルフは精神的にハードな職業だから今はただ頭と心を休ませることを楽しみにしている」と明確なことは明かさなかったが、少しずつ考えていくとした。 32歳でツアーを引っ張ってきたアリー・ユーイング(米国)も9月に現役引退を発表。アリーはLPGAのツアーカードを獲得した16年に1型糖尿病であることが発覚し、病気と闘いながらのツアー生活だった。自身最終戦はトータル11アンダー・16位タイでフィニッシュ。この1週間を「素晴らしかった。たくさんの人から連絡、家族、友人のサポートがあって、感謝している。自分の決断に悔いはない。これからの細かいことはわからないけれど、落ち着いた家族との時間が楽しみ」とこの9年間のキャリアに幕を下ろした。