新世代プロ棋士「28連勝」藤井聡太四段はどこまで強くなるか?
才能とAIをうまく融合させて強さ身につける
元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)は「規格外の新人という認識はまちがいないでしょう。今後トップ棋士と戦うことで、評価が定まっていくと思う」と指摘。タイトル獲得の可能性も「非常に高い確率で実現するのでは」とみています。 将棋界ではこの10年ほどでコンピュータ将棋ソフトが急速に力をつけ、今年5月にはソフトが佐藤天彦名人を破りました。プロ棋士間でもソフトを将棋の勉強に使うのが主流になりつつあります。藤井四段は21世紀生まれでも初のプロ棋士で、プロ入り以前から強いソフトと向き合ってきた初めての世代ともいえます。古作氏は「棋譜を分析したところではソフトの影響は確実に感じられます。才能と、AIをうまく融合させて、現在の強さを身につけたと私は考えます」と話しています。藤井四段もインタビューなどで将棋ソフトを勉強に活用することで、自信につながっていったという趣旨の発言をしています。
現役タイトル保持者との対戦なし、真価問われる今後
一方でこの公式戦の連勝期間中、現役のタイトル保持者や将棋界のトップ10である順位戦A級棋士などとの対戦はまだありません。また22連勝目の対局では相手が最後に対応を誤り、勝利した将棋もあります。その意味では藤井四段の真価が問われるのは、まさにこれからともいえます。「10代でタイトルを取っても複数冠に至らなかった棋士も過去にいますから、藤井さんが次々とタイトルを獲得するという可能性は絶対ではありません。努力し続ければという条件が付くと思います」(古作氏)。 「ひふみん」の愛称で親しまれ、20日に引退が決まった加藤九段も中学生でプロ入りし、タイトル戦に何回も登場したものの、獲得数は思ったより伸びず、40歳代に入ってようやく悲願の「名人位」を手中にしました。今年1月には最高齢勝利記録(76歳11か月)も更新しており、「才能」に加え、努力し続ける偉大さを感じさせます。 藤井四段は竜王戦だけでなく、第43期棋王戦でも予選を突破し、挑戦者決定トーナメントに進出しています。将棋界の最年少タイトル獲得記録は屋敷伸之九段の18歳6か月。藤井四段がこの記録にどこまで迫るのか、将棋ファンの関心は高まるばかりです。