「もしものときのために、あえて紙で残す」預金や保険・証券など「シンプル情報提供」のすべて
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。<第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識>、<第2部 今日から始める生前準備のすべて>、<第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える>の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 連載第9回 『「残された側がこんなに大変だとは…」突然、妻を亡くした夫が大慌てで家中を探し回った「ある書類」』より続く
相続が劇的にラクになる夫婦の「シンプル情報共有」
夫や妻に先立たれると、「残された側」の苦労が大きいのは前章で見た通りだ。しかし事前に2人で準備しておけば、負担は軽くなる。とりわけ面倒な相続を劇的にラクにするには、夫婦で事前に財産の情報をまとめておくといい。ハードルが高く見えるかもしれないが、押さえるべきポイントは限られている。 まずは銀行預金から始めよう。相続の際には口座がある金融機関や支店、口座番号、残高などの情報が必要になるので、通帳を集めて夫婦でわかる場所にまとめておきたい。 自宅中から通帳を探し出すのは手間がかかるうえ、各銀行の口座をすべて一括で照会できる方法はない。加えて、「口座を見落とすと相続税を追徴課税されかねない」と指摘するのは、アレース・ファミリーオフィス取締役で、相続終活専門協会代表理事の貞方大輔氏だ。 「私の元に相談に来た方で、亡くなった夫の相続後に、見知らぬ銀行から夫宛に『店舗移転の案内』が届いたという女性がいました。慌てて問い合わせると、独身時代の口座に300万円も残高があるとわかったのです。 遺族より先に税務署がこうした未申告の財産に気づくと修正を求められるうえ、過去の相続税の申告まで疑われかねない。夫婦で口座情報を共有しておかないと、大問題につながる恐れもあります」 銀行口座の情報を共有したら、夫婦で話し合って使わないものは解約しよう。預金をいくつかの口座に集約すれば、見落としのリスクは低くなる。