小泉郵政解散を意識? 平成以降の主な解散 坂東太郎のよくわかる時事用語
安倍晋三首相は18日夜の記者会見で衆議院を解散すると表明し、21日午後、衆議院は解散されました。この会見も含めて一部で05年に圧勝した小泉純一郎首相による「郵政解散」を意識しているとの指摘があります。会見前からもれていた「国民の声を聞きたい」というフレーズを多用し、アベノミクスを進めるのか否定するのか「YESかNOか」と迫る構図。負けたら退陣するという潔さ。ついには「信なくば立たず」と小泉氏が得意としていた銘まで繰り出しました。 【写真】「アベノミクス」「8%引き上げ」解散総選挙の争点と大義は? まあ今日の安倍首相を引き上げてくれたのが小泉政権であり政治の師匠のまねをして悪くはないでしょう。でも違いも多々あります。まず自公合わせて300議席あるなかで勝敗ラインを過半数としたのを潔いといえるか。意外と安全運転なのです。
「郵政解散」との共通点と違い
小泉郵政解散はもっと異様でした。郵政民営化は小泉氏の持論ながら自民党全体の支持を得ているとも国民の大きな関心事ともいえませんでした。良くも悪くも関心度は高いアベノミクスとは異なります。当時の自民党は公明党と保守新党と連立し、与党全体では安定していたものの自民党単独で過半数に届いていませんでした。そこも大敗しても過半数は大丈夫そうな今回の解散と違うところです。民営化法案は衆議院で約40人の造反を出したもののかろうじて可決。しかし参議院で否決されてしまいます。ここに至って小泉首相は「国民の声を聞きたい」と解散へと突き進みました。「参議院否決で衆議院解散は大義がない」と当時いわれました。ここは今回と似ています。 反対した国務大臣1人は罷免(クビ)して兼務。造反議員は除名していわゆる「刺客」を立てるなど劇的な展開に国民はもとよりマスコミまで舞い上がり、自民党は圧勝しました。今回は与党内で消費税の再増税慎重派がいるのは事実でも郵政解散のように造反する恐れも今のところなさそうですし、したがって造反だ刺客だという血なまぐさい話も聞きません。 ところで平成に入ってからの解散総選挙で印象深い事例をこの際改めてみてみましょう。