熱と喉の痛みが続き違和感…その後、判明した重い病。 「不安で1日中泣きました」闘病中、花の絵を描き始めたわけとは
書類の裏に絵を描き始めた絵
はなりーまんさんが入院中に初めて絵を描いたのは、ステロイドの苦い薬がスタートした次の日の7月20日。薬により、呼吸や痛みが楽になったのと、3週間検査結果を待たなくてはいけないという現実逃避からでした。 「目の前にあった書類の裏紙とボールペンで、もともと好きだった花の絵を描き始めました」といい、絵に没頭する時間は、はなりーまんさんの支えにもなりました。 ある絵とともに、Instagram(@hanaryman__)の投稿には「何も見たくねえ…」と記載してあります。それは入院が初めてだったということもあり、優しいお医者さんと鋭い針、自分の体が切られる感覚と焼かれる匂い、赤ちゃんができて幸せそうなご夫婦、数歩先には今にも亡くなりそうな人などの光景が受け止めきれなくなって「何も見たくねえ…」と思ったからでした。 「そしたら僕の顔に花が咲いて、視界にはきれいな花びらしか映らなくなりました」と、花で顔と目元を隠す作品ができあがったのです。 それからはなりーまんさんは、病室で絵を描き続けるようになりました。さらに妹さんからは色鉛筆を、友人からは絵の具をプレゼントされたといいます。 たくさんのリクエストがあったという「紫陽花」は、妹さんからもらった色鉛筆で、紫陽花がきれいに咲きました。
「絵を購入したい」
はなりーまんさんは絵を描き続け、思い切ってSNSに投稿します。すると、驚くほどの反響があり、応援してくださる方の声を励みに毎日絵を描くようになったのです。 「もし、失礼にならなければリクエストしたいです。そしてその絵を購入させていただきたいです」という依頼も。 「作品の発するエネルギーが素晴らしく、鷲掴みされました」という依頼者さん。はなりーまんさんは、夢のような出来事にうれし涙をこらえながら「作品のエネルギーを褒めてくれたその人に、厳しい雨を葉っぱではじき続け、光るように咲き誇る蓮の花を届けます」と作品を仕上げました。 悪性リンパ腫と告げられたときは、1日中泣いていたはなりーまんさん。そして抗がん剤治療が始まり、高熱や震え、吐き気が止まらず数日寝込みます。ですが体調を見ながら描き続けました。そんなときも「絵やSNSが自分を奮い立たせてくれました」といいます。 また、花が持ち込めない無菌の病室に、自身の描いた絵を飾りました。 「部屋も明るくなり、気持ちも少し明るくなった」といいます。 「絵を描いている間は悩みが消えて澄み切った空気に浮いた感覚になりますし、SNSで前向きな自分を演じているとほんとにそうなった気がします」 そして、はなりーまんさんの絵や発信が励みになったと声をかけてくださる方もおり「承認欲求や貢献欲求が満たされ。幸せを感じます」と語ります。さらに「人を勇気づけるような絵を描いていこうと、がんになったことでむしろ毎日にモチベーションをもって向かえるようになりました」と。 病室で描いた絵は30枚にもなりました。 はなりーまんさんは、初回の抗がん剤が効き約2ヶ月入院し、現在は退院。これからはひと月に1回抗がん剤を打つ通院治療をしながら来春までの完治を目指しています。 「抗がん剤を打ってから10日ほどは吐き気や頭痛があるものの、その後次の抗がん剤までの2週間は元気に過ごせています。副作用で少し手先に痺れが出てきましたが、絵に支障が出るほどではないのが救いです」と今後は家でたくさん絵を描いていくといいます。