はやぶさ2から分離成功 探査ロボ「マスコット」リュウグウを本格観測へ
小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウでの探査を順調に進めています。9月21日には「ミネルバ2-1」(MINERVA2-1)の2機の小型探査ロボットがリュウグウ表面への着地に成功し、初代の小惑星探査機「はやぶさ」での無念を晴らしました。ミネルバ2からは、これまで見ることのできなかったリュウグウ表面の貴重な画像が届いています。そしてミネルバ2に続き、はやぶさ2は、10月3日に小型探査ロボ「マスコット(MASCOT)」をリュウグウに向けて投下。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、正常に分離したことが確認されました。(科学ライター・荒舩良孝) 小惑星リュウグウに着地成功、探査ロボ「ミネルバ2」とは 初代の教訓糧に
初めて使えた時間表現solに「感極まる」
はやぶさ2は、9月21日午後1時6分(日本時間)にミネルバ2-1の2機の探査ロボを分離、投下しました。それぞれリュウグウ表面に無事着陸し、活動を続けています。 ミネルバ2-1がリュウグウ表面に着陸したことで、2機の活動については、「sol」という時間表現を使って説明される場面もありました。太陽系の天体の1日(太陽日:たいようじつ)は、自転の周期によって決まります。地球の場合は、自転の周期が24時間なので、24時間で1日となります。同じように、リュウグウの自転周期は約7.6時間なので、リュウグウ上での1日は約7.6時間となります。ただし、ここでいう「1日」は地球上での1日とは当然異なります。そのため、地球以外の天体での日数表記にsolを使用します。 solはこれまで何機もの探査機着陸を経験している火星で主に使われていました。JAXAでミネルバ2-1を担当する吉光徹雄准教授は「solは他の天体に降りることで初めて使える時間表現です。日本で初めてsolが使えるようになったということには、感極まるものがあります」と説明します。 リュウグウでは「1sol」が7.6時間。2機のローバーが着陸した日をsol 1として、10月1日にはsol 30が経過しました。こう表現すると、地球の時間で30日経過したのかと思ってしまう方もいるでしょう。前述の通り、solはリュウグウ上での日数の数え方なので、リュウグウでは、地球上でいう10日ほどの時間でsol 30まで経過するのです。その間、それぞれのローバーからは、ホップ中やホップ前後に撮影された画像がたくさん届いています。sol 7では、日本時間の9月23日10時34分から11時48分にかけて、探査ロボのローバー1Bが同じ場所で15枚の画像の連続撮影に成功し、それらの画像をつなげることで動画をつくることができました。この動画からは、リュウグウの上空を太陽が移動する様子が見て取れます。