暗号資産強気相場の構造とは──過去3回のサイクルから見えてくること
マクロ経済の影響
暗号資産は他のリスク資産と同様、世界の純流動性と高い相関関係にある。過去2回のサイクルでは、世界の純流動性は30~50%増加した。 直近の第2四半期(4-6月期)の下落は、流動性の引き締めが部分的な要因となった。しかし、第2四半期のデータでインフレと成長率の鈍化が確認されたため、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げの見通しにとっては有利な状況になった。 市場は現在、9月の利下げ確率を95%以上と見ており、第3四半期初めの50%から上昇している。さらに、トランプ前大統領が暗号資産を支持したことで、暗号資産政策が米大統領選の中心になりつつあり、民主党の新候補にも影響を与える可能性がある。 過去2回のサイクルも、米国の選挙とビットコイン半減期が重なっており、上昇の可能性は高まっている。
今回は違う?
歴史はまったく同じように繰り返されるわけではないが、過去のサイクルとの共通点(初期のビットコインのドミナンス、その後のアルトコインのアウトパフォーム、マクロ経済の影響)により、アルトコイン上昇の舞台は整っている。 しかし、今回は異なる可能性がある。ポジティブな面では、ビットコインとイーサリアムはETF(上場投資信託)を通じてメインストリームになり、個人投資家や機関投資家から記録的な資金が流入している。 慎重になるべき要素としては、より大規模で多様なアルトコインが投資家の資金を奪い合っており、多くの新規プロジェクトはエアドロップにより流通量が限られ、それは将来の希薄化につながる。 今回のサイクルでは、確かなテクノロジーと、開発者やユーザーを惹きつける力を持つエコシステムのみが成功するだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:The Anatomy of a Crypto Bull Market
CoinDesk Japan 編集部