「まさに下剋上」鵜飼いのウにアユが逆襲! まさかのシーンを描いた和菓子が話題。商品開発のきっかけとは?
飼い慣らした水鳥の鵜(ウ)を使って、鮎(アユ)などの魚を捕る伝統漁法といえば、鵜飼です。 【画像集】話題のお菓子「下剋上鮎」がこれだ! ところが立場逆転! いつも捕らえられる立場だったはずのアユが、ついにウに逆襲しました。そんな「まさかのシーン」をモチーフにした和菓子が、鵜飼で有名な岐阜県で販売されて話題になっています。 その名も「下剋上鮎」。下剋上(げこくじょう)といえば、地位の下の者が上の者をしのぎ、あるいはとってかわることを意味する語。アユの見事な下剋上を描いた和菓子はなぜ生まれたのか。製造販売する老舗和菓子店に取材しました。
話題になっているのは、漫画家の松山花子さんが自身のX(旧Twitter)アカウント(@kyusyu_danzi)で紹介した和菓子です。 120年の歴史を誇る和菓子店「玉井屋本舗」(岐阜県岐阜市)が製作・販売している「下剋上鮎」という商品。松山さんは「岐阜のお土産。鵜飼の鵜に逆襲する鮎のお菓子」と説明しました。シュ、シュールすぎる……。 飼いならした鵜を使って鮎などを獲る伝統的な漁法の鵜飼い。本来は鵜が鮎を捕まえる立場にありますが、このお菓子では鮎が鵜の尾に食らいつき、一矢報いるシーンを和菓子で創作しています。
「まさか鮎に反撃されるとは」と言いたげな鵜のなんとも言えない表情にSNSは大ウケ。 「す、すごい。鵜の尾に噛み付く鮎…間違いなく下剋上」 「センスのかたまり」 「まさに下剋上」 「骨もある奴だ」 「おもしろーい! お味が気になるところね」 など、多くのコメントと8万件を超える“いいね”が寄せられていました。
商品開発のきっかけは「明智光秀」にあり?
BuzzFeed JAPANは、製造・販売する玉井屋本舗に商品を開発したきっかけなどを取材しました。 ――鵜に鮎が勝つというのはとてもユニークですが、着想を得たきっかけなどがあれば教えてください。 「元々は2020年に放送されたNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』内で主人公の明智光秀が幼少期に岐阜で育ったため、玉井屋が居を構えるエリアがロケ地となってメディアの露出が増えることが予想されたことから、このドラマにちなんだ商品を開発しようとしたことが発端でした」 「どうせ新商品を開発するのであればドラマが終わった後も売れ続ける商品にしようということで、『麒麟がくる』の要素を交えつつ、どちらかと言うと玉井屋本舗に根差した商品ストーリーを作ろうと考えました。玉井屋本舗は現在創業約120年の老舗和菓子屋ですが、一説によると登り鮎という鮎の形をした牛皮の生菓子(鮎菓子)を初めて売り出した会社です。今でもこの登り鮎が会社の売上の多くを占めています」 「弊社で登り鮎が生まれた理由は玉井屋本舗から徒歩3分に位置する長良川、そこに棲息する岐阜県魚でもある鮎、そしてそれらを活用した日本伝統文化である鵜飼に着想を得たと言われています。これらの要素を組み合わせて商品をプロデュースしました」 ――なるほど。大河ドラマがきっかけだったのですね。 「『麒麟がくる』の主人公である“明智光秀”は玉井屋本舗のある岐阜で生まれ育ち、主君信長に反旗を翻して日本史上最大の下剋上を企てた張本人です。一方で"鮎"は同じく岐阜が誇る長良川で生まれ育ち、一説では1300年続くと言われている鵜飼にてずっと鵜に一方的に食べられています」 「大河ドラマにて地元の大先輩、明智光秀に焦点が当たることを記念して鮎がついに主君である鵜に対して下剋上を図るというのが創作ストーリーです。大河ドラマの期間だけ売れる一発屋にならないように、会社の歴史や地元の文化に根差したストーリーにドラマをフックとして付け加えた形にしました」