滋賀医大生・性暴力事件、大阪高裁はなぜ「無罪」と判断? 【判決詳報】
●事件の経緯
事件は2022年3月15日夜~翌16日未明に起きた。 もともと、A~C男とX女、Y女の計5人は3月15日午後7時過ぎから居酒屋で飲み会を開き、その後場所をA男の自宅に移して2次会を開催した。 問題の性的行為はこのA男宅で発生。検察が起訴した際に示した当時の出来事は、以下のように整理できる。 ▽3月15日午後11時44分ごろ ・A男がマンションのエレベーター内の隅にいたX女の前に立ち塞がりながら性交に応じるように要求。その様子をC男が携帯電話で撮影しながら「じゃあ、1回これで閉めてもらって」などと言い、A男と性交の要求を拒むX女をエレベーターに2人きりにさせるような言動をした(脅迫【1】)。 ▽3月15日午後11時51分ごろ ・A男がX女の頭部を左手でつかんでその口の中に陰茎を含ませて腰を前後させ、「苦しい」と言ったX女に対してA男が「苦しいのがいいんちゃう」、C男が「苦しいって言われた方が男興奮するからな」と発言(脅迫等【2】)。 ・A男がX女と口腔性交(口腔性交【1】)。 ▽3月15日午後11時51分ごろ~16日午前1時13分ごろ ・B男がX女の腕をつかんで引っ張り、X女の身体に両腕を回して抱きつくとともに、その唇に無理矢理キスする(暴行【1】) ・A男とB男がかわるがわるX女と口腔性交(口腔性交【2】)。 ・A男がその様子を携帯電話で動画撮影する中、「苦しい」と言うX女に対してA男が「が、いいってなるまでしろよお前」と発言(脅迫【3】)。 ・B男がX女の友人であるY女に覆い被さるなどする様子をX女に認識させた(脅迫【4】) ▽3月16日午前1時14分ごろ~午前1時24分ごろ ・Y女と腕を組んでその場から立ち去ろうとしていたX女に対して、A男がその後方からX女の身体に両腕を回して抱きついて引っ張り、B男がY女の腕をつかんで引っ張って、Y女をX女から引き離すなどした(暴行【2】)。 ▽3月16日午前1時24分ごろ~午前2時31分ごろ ・A男とB男がかわるがわるX女と口腔性交(口腔性交【3】)。 ・A男がX女と性交し、A男が動画撮影する中、B男がX女と性交(上記の口腔性交【3】と合わせて「本件性交等」とする) 口腔性交や性交の前や途中で、A男らは動画を撮影したり、その場から立ち去ろうとしていたX女の身体に引っ張ったりするなどしており、これが「強制性交罪」における「暴行・脅迫」にあたるかや、これらの性的行為にX女が同意していたかなどが争点になった。 整理すると、裁判では、 ・口腔性交(【1】、【2】) ・性交等(口腔性交【3】・性交) ・上記の手段としての暴行(【1】、【2】) ・上記の手段としての脅迫(【1】~【4】) について、それぞれの有無や関連性が検討された。 ここでは、B男とC男についての1審と控訴審の判決の違いを見ていく。