21世紀のクーペ・マーケットを占う “次期スカイライン・クーペ”は売れるか?
デトロイトショーで発表されたインフィニティQ60コンセプトは、次期スカイライン・クーペだと言われている。もはや「言われている」と書くのが馬鹿馬鹿しいくらい、そのスタイルはスカイラインそのものなので、以後「次期スカイライン・クーペ」だと勝手に決めて書き進めたい。 【写真】「ベルリンの壁」崩壊とセダン、クーペ、ミニバン 混乱する欧州車 ここしばらく、日本車には大型のクーペが存在しなかった。しかし昨年、レクサスRCのデビューで久しぶりにクーペモデルが復活した。ここにニッサンが次期スカイライン・クーペを投入することで日本のクーペマーケットが久しぶりに活性化する可能性が見えて来た。筆者個人としてはクーペに本当にマーケットがあるのか、かなり懐疑的に見ているが、少なくともトヨタとニッサンは、クーペに何らかの期待をしているのは間違いない。
クーペとは一体何なのか?
ただし、クーペというのはかなり難儀なクルマだ。本来の定義において、クーペとはセダンと対を成すもので、フォーマルなセダンに対してパーソナルなクーペという立ち位置を持つ。 クーペは、一台のクルマを二人だけで贅沢に占有することの象徴として2ドアでデザインされ、それにふさわしい上品で豪奢な内外観を持っている必要がある。運動性能は高くてもいいが、原則としてはハードコアにスポーツ性が高くあってはならない。乗り心地を我慢して、目を三角にしてクルマと格闘するものではなく、まず最初にエレガントであることが優先される。定義としてのクーペはそういうものだ。 基本的な関係は、セダンがスーツだとすれば、クーペは高級なリゾートウェアだ。例えばディスニーランドにスーツで出掛けるのが場違いなように、リゾートにセダンで出掛けるのは粋では無い。同様に仕事の場にクーペで出掛けるのもTPO的にはあまりわきまえた行動とは言えないわけだ。 ここ最近の日本車で言えばレクサスSC(40型ソアラ)は、クーペにだいぶ近い位置にあったが、本来ベンツSLの対抗馬として出発したことから考えると、性能はともかくスポーツカー・マーケットの商品である。