止まらぬ円安の「1200兆円の借金よりヤバい」現実 小手先の日銀介入では隠せない「本当のリスク」
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」 「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」 経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリ第1位を獲得、19万部を突破した話題のベストセラーだ。 【写真】経済教養小説『きみのお金は誰のため』には、「勉強になった!」「ラストで泣いた」など、多くの読者の声が寄せられている。 著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」 今回は、急激に進行している円安が示す、日本経済の本当の問題点を解説してもらう。 ■円安議論は玉石混淆 円安が止まらない。4月27日の外国為替市場で、円は34年ぶりの安値、1ドル158円台を突破した。
急速に円安が進むと、円暴落論が必ず盛り上がる。政府の借金が1200兆円近い中、円が紙屑になるのではないかと不安に駆られて、焦って外貨投資を始めようとする人も多い。一方では、日本は経常黒字を維持しているので大丈夫だと言う人もいる。 円安はまだまだ加速するのか、それともいきすぎているのか。 玉石混淆の意見に翻弄されないために、見るべきポイントがある。 「その意見に、実際の為替取引が伴っているのか」ということだ。
ドルを買いたい人、円を買いたい人が存在して、彼らが為替取引という「綱引き」に実際に参加することによって、為替レートが動く。非常にシンプルなのだ。 その点に注目すると、政府の借金自体が問題ではないことがわかる。そして、それ以上に大きな問題に気づく。 過去には、政府債務が多い国が致命的な通貨安に直面した例は幾度となくある。そこには、必ず実際の為替取引が発生していた。 国内の生産力が落ち込み、外国から大量の物資を買う必要があったり、外貨で賠償金を払う必要があったりしたなどの理由から、外国為替市場での外貨の購入量が急増し、通貨価値が大幅に下がったのだ。