ハミルトン、メルセデスでのラストレースに臨む。「感情的に、予想以上に難しい1年だった」
ルイス・ハミルトンにとって、今週末のF1アブダビGPはメルセデスの一員として戦う最後の週末になるが、その胸に込み上げてくるものがあるようだ。 【リザルト】F1最終戦アブダビ:フリー走行2回目 7度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンはシーズン開幕前に、今季限りでメルセデスを離れてフェラーリに移籍し、12年にわたるパートナーシップに終止符を打つことを明らかにした。 この移籍を早々に発表することで、ハミルトンとメルセデスは将来の憶測を捨て、サーキットで結果を出すことに集中できると期待されていたが、シーズンは両者の予想をはるかに上回る困難なものとなった。 そしてハミルトンはシーズン最終戦を前に、「最終的には難しいことになるとは予想していたけれど、それがどれほど難しいことなのかを過小評価していたよ」と語った。 「序盤は関係がぎくしゃくしていた。それを乗り越えるには時間がかかった」 「自分自身にとっても、この1年は非常に感情的な年だった。その感情に対処し、対処することにおいて、僕はベストな状態ではなかったと思う」 ハミルトンは、今年直面した困難が大きかったために、人々が彼の最悪の部分を見ることもあったと考えている。 「僕のキャリアをずっと見てきてくれた人たちもたくさんいるし、今年は僕の最悪な部分や最高の部分も見られたと思う」 「どちらに関しても謝るつもりはないよ。僕も人間だから、いつもうまくいくとは限らない。そのハンドリングという点では、今年は僕にとって最悪の年だった。 もっとうまくやれるように努力するよ」 「でも良い面やポジティブなところが、ネガティブなところや自分の振る舞い、対応を遥かに上回るものであってほしい」 近年の成績は彼やメルセデスが望んだものではなかったが、ハミルトンは日曜日には最高の思い出だけを胸にチームを去るだろうと言う。 「良い思い出しかないよ。僕は信じられないような人間関係を築いてきた」 「僕たちは(多くのことを)経験してきた。想像してみてほしいんだけど、これだけ多くの人たちと一緒にシーズンを過ごすとなると、レースウィークエンドで山あり谷ありを一緒に走り抜けるだけでなく、結婚や離婚、家族の死、ガンなど、様々な私生活を一緒に過ごすことになるんだ」 「彼らと共に旅をしているんだ。一緒に過ごす旅は本当に美しい。とても長い旅だったから、感情もとても深いモノになっている」 メルセデスとの246レースで忘れられない思い出は何かというと、ハミルトンは2014年第3戦バーレーンGPでの優勝を挙げた。 「それは成功したときの笑顔だと思う。そういう瞬間がいくつか浮かぶんだ」 「2014年のオーストラリアGP(実際はバーレーンGP)で優勝したときのあるエンジニア(アルド・コスタ)のことを覚えている。表彰台に上ったとき、彼が涙を流していたんだ。そういう瞬間が僕の心の中にあるんだ。今年のシルバーストンでの感動もそうだ。いいことばかりだよ」 「当然ながら、いいことはほとんど覚えている。信じられないほど誇りに思うと同時に、サーキットにいるひとりひとりに感謝している。このサーキットにいるすべての人たち、そしてファクトリーにいるすべての人たちに感謝しているんだ。みんな、初日からずっと僕を支えてくれたんだ」
Jonathan Noble