「これがうちのチームの全て」5年ぶりSFチーム王座のDOCOMO TEAM DANDELION RACING、少数スタッフながら強い理由
2024年のスーパーフォーミュラは、牧野任祐と太田格之進を擁するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームチャンピオンに輝いた。ドライバーズタイトルは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)に奪われてしまったものの、全9戦のシーズンで牧野と太田がそれぞれ2勝を挙げるなど、ドライバーふたりが揃って高水準のパフォーマンスを見せた。 【ギャラリー】人が……乗ってないだと!? スーパーフォーミュラを使った自律走行レース『A2RL』が鈴鹿でテスト 「若いふたりが切磋琢磨したことでしょうね。牧野君と太田君も、ご存知の通りの人柄ですから。そことチームがうまく合ったんじゃないですかね」 「ドライバーズタイトルもチームタイトルも、1年間で最もそこに執着し、情熱を持って戦った者が獲れるものだと思っていますから。そういう意味では我々がチームとして一番、このタイトルに情熱を持って戦ったのだと思います」 タイトル獲得の要因をそう語ったのは、村岡潔チーム代表。さらにこう力説した。 「表彰式の時に上がったスタッフ、あれがうちのチームの全てですからね!」 「他のチームだとあそこに上がれない人たちがいっぱいいると思います。うちのチームはあれが全てですから。そして、スペアが誰もいない。 だから、そういう意味でも強かったのだと思います」 確かにダンディライアンは無限やトムスといった他のトップチームと比べると小規模なスタッフで運営されている印象を受けるが、同時に確かな技術力を誇るチームでもある。マシンパフォーマンスの肝とも言えるダンパーは、かつては吉田則光監督兼エンジニアを中心に内製されており、そこで多くの知見を得た。今年からは共通化によりオリジナルダンパーを使うことはできなくなったが、吉田監督は開幕前から「コントロール(共通化)になっても、他のチームが踏み込んでいない領域のセットアップができると思う」と自信を見せていた。 まさに“少数精鋭”という言葉が似合うチームと言えるが、村岡代表は「少数“精鋭”、ではなく……70点の人たちが集まっている。だからタイヤ交換だって速くなくとも確実にやるんです」と表現する。 フォーミュラ・ニッポン時代の1999年に1台体制で参戦をスタートさせたダンディライアンは、参戦当初こそ下位チームだったが、2004年にリチャード・ライアンがチャンピオンを獲得すると、以降もチームタイトル、ドライバーズタイトルを複数回獲得してきた。特に直近7シーズンに限れば、ランキング6位以下に落ちたことは一度もない。 村岡代表は、スタッフひとりひとりが高い意識を持てるようなチームづくりを心がけてきたという。「それにうちは人が変わらない。エンジニアも変わらない。メカニックも変わらない」と言うが、さらに言えばメインスポンサーも参戦当初から一貫してNTTドコモだ。こういった安定したチームの基盤が、強さの秘訣かもしれない。 「スタッフ全てが、『自分がいるからダンディライアンが強くなる』という意識を持ってもらえるように、ひとりひとりを大切にしてきたつもりです。オーナーの私が勝手に思っているだけで、メカニックはそう思っていないかもしれませんが(笑)。やってきたことはそれだけですね」
戎井健一郎
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