【ビジネスの極意】評価コメントで一喜一憂しない! 360度評価で部下の声を聞いてはいけない3つの理由
360度評価で出されたコメントについて、どう対応するのが正しいのでしょうか? マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」では、360度評価コメントを成長につなげる方法を考察します。 * * * 360度評価(評価対象者の上司や部下など、多様な人に評価アンケートを行い、フィードバックする人事評価システム)は、パフォーマンスを多角的に評価する手法です。ただし、360度評価で出てきたコメントは、必ずしも部下を持つポジション、管理職の成長につながるとは限りません。 今回は、360度評価で得られるコメントを見て一喜一憂することなく、成長につなげるコツについて考察してみたいと思います。
360度評価の結果を組織改善につなげる3つのポイント
マネジメント職にとって、360度評価は普段聞こえてこない部下や他部署からの評価を聞けるというのがひとつの特色でしょう。しかし、360度評価の声を真剣に聞きすぎると、「リーダーの信念がブレる」など、マネジメントの方向性に悪い影響を与える場合があります。 組織改善に360度評価を活用したいなら、次のポイントを意識するといいでしょう。 ・「360度評価は人事査定に影響しない」確固としたルールを設ける ・回答結果は本人に見せない ・360度評価は、情報収集や参考データとして割り切って使用する ◆360度評価は人事査定に影響しないルールを設ける 360度評価を組織改善に役立てたいなら「評価コメントは人事査定に影響しない」確固たるルールを設けるようにしましょう。 「〇〇は部下から信頼を得ていない」などのコメントを人事査定に反映させてしまうと、正直な意見が得られにくくなります。場合によっては、上司から部下へ「いいコメントをするように」圧力をかけるケースがあるかもしれません。 また、この人事ルールは360度評価に携わるメンバーや上司すべてに開示する必要があります。一人でも「そんなルールは聞いていない」部下がいると、正当な360度評価が行えません。 人事部の責任者は、組織内でルールを浸透させる仕組みを作るようにしましょう。 ◆回答結果は本人に見せない 360度評価の結果は、評価対象者に直接見せないようにしましょう。 例えば、マネージャーへのコメントであればマネージャーには見せず、一段階上の部長にだけ公開するのも組織運営の面では効果的な方法といえます。 部下からの否定的なコメントを直接見てしまうと、上司のマネジメント指示がブレる可能性もあり、内容次第では組織運営に影響が出る場合もあります。また、本人にコメントを見せないようにすれば、評価対象者は部下からの直接的なフィードバックのプレッシャーから解放され、より客観的な視点でマネジメントに集中できるでしょう。 ただし、評価コメントを見る上席自身は、コメントの内容だけで人事評価をしてはいけません。あくまでも俯瞰的に物事をとらえ、参考情報として留めておくようにしましょう。 ◆情報収集や参考データとして認識する 360度評価は、時には真剣に受け止めるべきではない場合もあります。なかには「個人的なネガティブな感情」だけが先走り、信ぴょう性の薄いコメントも見受けられます。 360度評価のコメントは、組織内の傾向や問題点を把握するための参考データとして活用することが望ましいです。「部下の〇%が否定的な感情を持っているのか?」程度の、ざっくりとした感覚でとらえておくといいでしょう。