樋口恵子 補聴器で医療控除が受けられず「老い」にはお金がかかると実感。心配してもしょうがない、老いが来たら「来た!」と思うしかない
◆老いにはお金がかかります ことほどさように、老いにはお金がかかります。 補聴器も眼鏡も保険適用外なので自費です。 私は補聴器代の医療費控除*2を受けようとしたら認められませんでした。 どうやら認定補聴器専門店で、最初から控除を受けられるやり方をして購入しなければいけなかったよう。 そんなことは知らず、面倒くさいからとデパートで作ってしまったので高くつきました。 多くの人はそういう仕組みを知らないと思います。私も税理士さんに言われて初めて知ったのですから。 そういう手続きをして、しかるべきところで作れば医療費控除を受けられたのだと思いますが、時すでに遅しです。 *2 医療費控除:自分や家族のために、1年間に払った医療費が基準額を超えるとき、受けられる所得控除。補聴器の購入前に、補聴器相談医に診察してもらい、補聴器が必要と判断され、認定補聴器専門店で購入した場合、一定の医療費控除を受けることができる。
◆幸いにも目はいいのです 先日は1万円弱で杖を買いましたけれど、杖代の医療費控除も受けられないそうです。 杖があれば通院ができるなど、治療に必要なものなら認められるかもしれませんが、私の場合はダメ。 ただ仕事で外に出ることが多いので、税理士さんが必要経費として申告してくださいました。 幸いにも目はいいのです。2~3年前に初めて眼鏡を作りました。 ちょっと乱視があるものだから、ひとりでフラフラ出歩いているとき駅のホームで行き先の表示が見えにくくなったのです。 寝転んで新聞や本を読んだりするくらいなら、眼鏡は一切いりません。 あれやこれや、本当に、老いるとはお金がかかるものですね。 ※本稿は、『老いの地平線 91歳 自信をもってボケてます』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
樋口恵子
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