なぜ阪神はクリーンナップ5発でG倒に成功したのか…背景に「パに匹敵の積極性」と「巨人の配球ミス」
韓国プロ野球で“2冠王“を獲得したスイッチヒッターのメル・ロハス・ジュニア(30)が、この日から2軍の練習に合流した。阪神の外国人選手の状況を考えると、野手の登録はおそらく2人。ロハスを使うとなると、5番打者として、この日も6号を放ち安定した成績を残しているサンズよりもマルテが交代要員の最有力候補となる。高代氏は、昨年ファームで、ふくらはぎを痛めて調整していたマルテの“焦り“を目の当たりにしている。 「必死さが伝わってきた。サンズとボーアが起用されていたので、痛めたふくらはぎがまだ完治していないのに無理にファームの遠征への参加を直訴して、そこでまた怪我をしてしまったんだけどね。あのハングリーさがマルテの原動力でしょう」 ボールゾーンを巧みに使ってくる日本野球に対応するため今季から打撃フォームもコンパクトにマイナーチェンジした。 「これまでもボールの見極めは出来ている選手だったが、フォームを低くして、より低めのボールの見極めができるようになっている」と高代氏は評価した。 もうひとつの不敗神話を継続した大山は、3回にライトにソロ、9回にレフトの最前列に2ランを運んだ。タイムリーを打って打点は稼ぐものの期待されている本塁打は、まだ1本。“本塁打スランプ“に陥っていた大山に脱出の傾向が見られたと高代氏は見ている。 「大山はバットのヘッドを投手側に向け、反動をつけて打つので、どうしてもバットが遠回りしてボールに角度をつけることができていなかった。だが、この日は、バットが出ていく際に、芯のあたりがクビの後ろにひっつくくらいに体に巻き付いていて、ボールにコンタクトするまで最短距離を通っていた。ボールに角度がつきはじめたのは、その効果だと思う」 猛打爆発で、チーム打率.265、本塁打23、得点97に跳ね上がった。セで抜きん出た数字だ。高代氏は、阪神打線の好調理由を「パ・リーグの打者に匹敵するほどの積極性にある」と分析している。 「阪神打線の特長は、ボール球に手を出さないという見極めではなく、むしろ早いカウントからの甘いボールを必ず振りにいって打ち損じをしないという積極性にあると思う。昨年の巨人とソフトバンクの日本シリーズでセパの野球の違いが顕著に出たのが、巨人の打球はファウルになり、ソフトバンクの打球は前に飛ぶということ。もちろん相手投手のパワー、打者のスイングスピードとも関連して、そうなっているのだが、積極性の違いが原因としてある。その積極性が集中力にもつながっていると思う」