西武などから初の選手派遣…3年目を迎えた「ジャパンウィンターリーグ」は新たな人材発掘の場となるか?
西武は今回、ケガの影響で今シーズンの実戦機会が少ない三浦大輝(24)、谷口朝陽(20)、仲三河優太(22)の育成3選手を派遣するが、それに加えてトレーナーやバイオメカニクス担当などスタッフ4名も沖縄入りすることが決まっている。その狙いを広池副本部長に尋ねた。 「選手だけではなくいろんな人が、ジャパンウィンターリーグには集まってきます。専門分野のエキスパートの方もいれば、これからスキルを身につけようとしているインターン生も本当にいろんな人がいて、教わることもありますし、こちらが教えることもあると思っています。その教えることでも学びはありますし、逆に今まで気づけなかったようなことを、気づかせてもらえるかもしれません。プロだから優れているというわけではないと思うので、いろんなことをスタッフの人にも感じてほしいと思っています」 広池氏が話すように、このリーグにはアナリストを目指す学生や、トレーナーを目指す学生、スポーツビジネスに携わりたい学生など、多くの若い力がインターンとして現場に触れて、学びを得ようとフィールドワークにチャレンジしている。例えばアナリストを目指すインターン生ならば、試合中も常に計測しているラプソードやブラストモーションの数値を選手やコーディネーターに提示したり、試合後のデータ集計を行ない、傾向を分析するといった具合だ。貪欲に吸収しようとする彼らとの触れ合いからも得られるものあると広池氏は感じていた。 現場の意見も気になるところだ。来季、チームの再起を託された西口文也新監督が秋季練習中、ウィンターリーグに派遣される選手たちに期待することとして、こんな話をしていた。 「普段対戦しない相手ですし、グラウンドや周りの環境も全然違う中でプレーすることになると思うので、精神的に強くなって帰ってきてほしい。周りは知らない人ばかりだと思うので、頭を使って自分で考えて、必死に野球に取り組んできてほしいと思っています」 今回、初の試みとなるジャパンウィンターリーグへの人材派遣が、低迷する西武の現状を即座に打破するものではないだろう。しかし、今までになかった新たな知見を得ることで、少なからずチームに還元されるものはあるはずだ。もしかしたら新たな人材の獲得もあるかもしれない。 育成の西武再建へ。その道のりは長く遠いものかもしれないが、何事も一歩目を踏み出さなければ変わらない。今回、踏み出したその一歩がより良き道につながっていることを信じて、今後も見届けていきたい。 取材・文●岩国誠 【著者プロフィール】 岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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