ASRockの「DeskMini X600」には自作PC気分を手軽に味わえるロマンあり! “小さな”実機をじっくり検証した
小型のデスクトップPCを求める読者には、ASRockのDeskMiniシリーズから登場した新製品「DeskMini X600」を紹介したい。ASRockのラインアップにあるベアボーンキットの中で、小型に分類される製品だ。Ryzen 8000GシリーズをはじめとするAMDのAM5ソケットに対応し、DeskMiniならではの高いストレージの拡張性も備わっている。 【画像で見る】ライティングが入るだけで華やかなイメージになった ただ、「小さいPCって組み立てるのが難しいでしょ」と思っている方もいるだろう。ちまたの完成品ミニPCとどちらがコスパが良いのかも気になる。そこでは今回は、DeskMini X600にパーツを組み込み、予算感も出してみた。
2Lサイズのミニボディー CPUやメモリなどが選べるベアボーンキット
DeskMini X600は約1.92リットルのボディーを採用するベアボーンキットだ。2Lクラスなので、体積で言えばNUCをはじめとする0.5LクラスのミニPCの4倍はある。ただ、見た目は多くの方がイメージするミニPCか、それよりも小さく感じられるだろう。 具体的なサイズは、縦置き時の場合は約80(幅)×155(奥行き)×155(厚さ)mmで、17cm四方のMini-ITXで組む場合よりも一回り小さい。ASRockらしいシンプルなデザインだが、フロントインタフェースを始め、十分な接続性を備えている。 前モデルの「DeskMini X300」からDeskMini X600になり、いくつかのポイントが強化されている。ソケットはAM4からAM5になり、搭載できるマイクロアーキテクチャもZen 3からZen 4にステップアップした。 各種インタフェースの進化もある。メモリはDDR4-3200からDDR5-6400へ、M.2スロットは「Gen 3×2基」から「Gen 5×1基+Gen 4×1基」へ、有線LANは1GbEから2.5GbEに引き上げられた。 設置方法は標準で付属するゴム足か、オプション(別売り)でVESAマウントキットを追加してディスプレイ裏や壁掛けする方法が選べる。 付属のACアダプターはFSP製で、出力120W(19V、6.32A)となる。比較的小さく、特にACアダプターからDeskMini X600本体までは細めのケーブルを採用しているので収まりがよい。なお、電源プラグは外径5.5mm、内径2.5mmでセンタープラスとなっている。 続いてDeskMini X600の内部にパーツを搭載していこう。まずケースを開けるには背面4隅のネジを外す。ネジを外せばスライド式にマザーボードベースを引き出せる。フロントパネル用のケーブルだけはケース側と接続されているので、これを外せばマザーボード上へのパーツの装着が楽になる。 マザーボードはMini-ITXよりもさらに一回り小さいが、AM5ソケットにM.2スロット(PCI Express Gen 5 x4)、2本のSO-DIMMスロットといった具合で構成は同じだ。高密度に感じるが、実際に組んでみるとそこまで窮屈感はない(あくまでMini-ITX比だが)。 なお、マニアな方にはMOSFETなどの部品をじっくり堪能していただきたい。チョークの数から6フェーズと思われるが、その裏を見るとタンタルだろうか、薄型のMOSFETが19個並んでいる。たぶん、これをおかずに白飯3杯いけるマニアもいるだろう。 サポートしているCPUについては、AM5のRyzen 8000G/7000シリーズで、かつTDPが65W以下だ。ただし多くの理由から、実質的にはRyzen 8000Gシリーズが本命と思われる。Ryzen 7000シリーズでは、末尾「F」以外には統合GPUが搭載されたものの、性能は必要最低限だ。 プリントサーバのような使い方ならそれでもよいが、デスクトップPCとして利用するには少々キビシイ……。一方のRyzen 8000Gシリーズは統合GPUとしてはかなり高性能ではある。グラフィックスカードを搭載できないDeskMini X600なので、統合GPU性能の高さを選択の基準とするのがよいだろう。 DeskMiniシリーズが、他のミニPCに対して大きくアドバンテージを持っているのが、ストレージの拡張性だ。マザーボードベース裏には2.5インチシャドーベイを2基備えている。また、マザーボードベースからマザーボードをいったん取り外せば、2番目のM.2スロット(PCI Express Gen 4 x4)にアクセスできる。トータル2基のM.2 SSD、さらに2基の2.5インチSSD/HDDを搭載できるのは、通常このサイズのミニPCでは考えられないだろう。