ASRockの「DeskMini X600」には自作PC気分を手軽に味わえるロマンあり! “小さな”実機をじっくり検証した
ゲームは弱いが仕事用や学習用に最適なミニPCが実現できる
初回起動時のBIOSセットアップについては省くが、確認するのはメモリやストレージが認識されているかどうか、メモリクロックは適正なプロファイルが読み込まれているか、CPU温度が異常に熱いようなことがないか(グリス不良や保護フィルムの外し忘れなど)などでいいだろう。 他はファンの回転数制御がデフォルトでSilentになっているので、高性能CPUを組み合わせる際は、まず「Performance」など回転数の高いモードで様子見し、しばらく運用して問題なければSilentに戻すなどした方がいい。BIOSセットアップが完了したらOSのインストールを行う。 なお、最近のASRock製品ではOSの初回起動時に「Auto Driver Installer」の通知が表示される。DeskMini X600に必要な各種ドライバのインストールを自動化してくれるものだ。 肝心なのはユーティリティーとしてアプリ自体がインストールされるものとは異なる点だ。ドライバ導入後にWindowsの「インストールされているアプリ」で確認すれば分かるが、Auto Driver Installerはもちろん、ASRockのその他のアプリも一切インストールされていない。ドライバ充当を楽に行えつつ、行儀がいいと言うのがよいだろうか。 それでは今回組んだDeskMini X600のパフォーマンス測定といこう。 PCMark 10 Extendedベンチマークのスコアは6817ポイントとなった。EssentialsとProductivityについては1万1000ポイントを超えるスコアで軽快だ。一方、Digital Content Creationについては8616ポイント、Gamingは5519ポイントだった。この2つはGPU性能の依存度も大きい。統合GPUとして考えれば比較的高スコアだが、3Dコンテンツ制作や3Dゲームをメイン用途にするには力不足だ。 ・Extended score:6817 ・Essentials:1万1068 ・Productivity:1万1088 ・Digital Content Creation:8616 ・Gaming:5519 3DMarkでは新規追加されたSteel Nomad Lightで2231ポイント、Solor Bayで9224ポイント、伝統的なDirectX 11テストのFire Strikeが6374ポイント、軽量なWild Lifeで1万3029ポイントというスコアだった。 ポータブルゲーミングPCが近いスコアになるので、フルHDでなくHD(1280×720ピクセル)、画質設定から可能な限り軽量な設定を適用できれば、60fpsをクリアできるかもといった感触だ。 ・Steel Nomad Light:2231 ・Solor Bay:9224 ・Fire Strike:6374 ・Wild Life:1万3029 実際のゲームではどうかと言うと、例えばSTREET FIGHTER 6 Benchmark ToolでV-SYNCオフにして計測すると、LOW(1920×1080ピクセル)設定で93/100点とまずまず快適にプレイできそうなところ、LOWEST(1280×720ピクセル)設定なら100/100点が得られた。 ・LOW(1920x1080):93点 ・FIGHTING GROUND:59.04(60fps上限) ・BATTLE HUB:66.86(120fps上限) ・WORLD TOUR:52.40(120fps上限) ・LOWEST(1280x720):100点 ・FIGHTING GROUND:59.96 ・BATTLE HUB:104.71 ・WORLD TOUR:80.16 また、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは「1280×720ドット」設定なら高品質(ノートPC)で9070ポイント、平均65.6fpsで「快適」評価を得られたが、「1920×1080ドット」設定では標準品質(ノートPC)で6901ポイント、平均47.6fpsで「やや快適」評価にとどまった。 3Dゲーム性能を向上させる方法はある。統合GPUが強力なRyzen 7 8700Gを組み合わせるプランだ。コアがRyzen 5 8600Gの6コア→8コアに増えるだけでなく、グラフィックスコア数が8基→12基に増え、グラフィックス周波数も2.8GHz→2.9GHzに向上する。CPUだけ交換した3DMarkスコアで見ると以下の通りだ。 ・Ryzen 7 8700G ・Steel Nomad Light:2739 ・Solor Bay:1万471 ・Fire Strike:6469 ・Wild Life:1万3176 ・Ryzen 5 8600G ・Steel Nomad Light:2231 ・Solor Bay:9224 ・Fire Strike:6374 ・Wild Life:1万3029 また、こうした統合GPUにおいてはメインメモリのパフォーマンスが大きく影響する。しかし、DeskMini X600はSO-DIMMなのでデスクトップ向けDIMMほどOC(オーバークロック)メモリの選択肢が豊富ではない。ただ、自己責任でOCすることは可能だ。DeskMini X600のメモリに関するBIOS項目は他のASRockマザーボードに近く、クロックやレイテンシを詰められる。 最後にDeskMini X600付属のCPUクーラーとNH-L9a-AM5との違いを紹介しよう。まずPCMark 10 Extended実行中の温度グラフを見る限り、付属CPUクーラーの方が若干高いシーンもあるが、そこまで顕著な差はなかった。冷却性能という点では付属CPUクーラーでも冷やしきれる。 一方、動作音については大きな開きがある。付属CPUクーラーはアイドル時やCPU高負荷時のCINEBENCH R23、GPU高負荷時のFFXIVベンチマーク、いずれも40dBA台だったのに対し、NH-L9a-AM5は30dBA台となった。 NH-L9a-AM5には静音化アダプターも付属するが、今回は使用していない。使用せずとも30dBA台だった。40dBAでもそこまで爆音というほどうるさくはないが、30dBA台は夜間も気兼ねなく運用できるレベルの静かさだ。 カスタムパーツでガラッと性格が変わるところが、組み込み済みミニPCではできない自作ミニPCの楽しみ方だ。もちろん付属CPUクーラーでコストを抑えるのもアリ。しばらく付属CPUクーラーで運用しつつ、やっぱり静かな方がよいという結論に至ったならCPUクーラーを交換してみるといった2段階プランも可能だ。