義母からのしつこすぎる暴言電話…これって慰謝料請求できる?弁護士さんに聞きました
嫁VS姑の長年の戦いを描いた『義母クエスト~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』。人気ブロガー・かづさん原案の実話コミックエッセイで、嫌がらせの限りを尽くす義母がヤバすぎる…と恐怖に震える読者が続出中なんです! しかし、いくら身内とはいえ、常軌を逸した嫌がらせやモラハラは、「犯罪行為」に当たるのでは? と読んでいて気になりますよね。そこで今回は、本作の主人公・かづの事例を参考に、どんな罪にあたるのか、そしてどんな法的手段が取れるのか、弁護士法人プロテクトスタンスの弁護士・金岡紗矢香さんに聞いてみました。 【マンガ】『義母クエスト』を最初から読む ■『義母クエスト~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』あらすじ 看護学校で勉強しながら働いていた19歳のかづ。友人や看護師長さんからも頼りにされて、充実した日々を送っていました。 骨折で入院していた男性から猛アプローチされたかづは、軽い気持ちで付き合うことに。あれよあれよという間に結婚の話が持ち上がります。 ところが、相手の母親が「かづさんと結婚するなら親子の縁を切る」と言っていると知り、何やら不穏な予感が…。結局、両家の親が結婚に反対する事態になるも、二人の愛はますます燃え上がります。 そんなある日、交際相手の実家に行くことになり、初めて相手の母親と対面したかづ。しかし、あからさまにかづを無視したり、かづ一人だけ出前の寿司のランクを下げたりと、徹底した嫌がらせを受けるのでした。 その後、妊娠が判明したことから半ば強引に結婚した2人。そして、新婚旅行から帰ってきた翌日から、義母の恐ろしすぎる「電話攻撃」が始まったのです…! 「私の言いなりになりなさい」「恥ずかしい嫁」と毎日電話口で暴言を吐き続ける義母。こういった嫌がらせ行為に対して、法的な手段をとることはできるのでしょうか…? ■毎日かかってくる義母からの電話。やめさせることはできる? ――このエピソードで主人公は、義母からのしつこすぎる電話に苦しんでいます。義母に電話をやめさせるための法的な手段はありますか? 金岡紗矢香氏:義母の電話は、偽計業務妨害罪や強要罪、脅迫罪、ストーカー防止法違反に該当する可能性があります。法的に直接義母の行為の差し止めなどを請求することは難しいのですが、刑事事件として被害届を出すことを義母に伝えることで、自ら電話を辞めるよう促すことはできるでしょう。 ■電話越しに繰り返されるひどい暴言。慰謝料を請求できる? ――主人公は電話で義母から「恥ずかしい嫁」「役立たず」「ごくつぶし」といったひどい暴言を受けています。こういった行為は法律で罰せられないのでしょうか? またこの場合、主人公は義母に対して慰謝料を請求できますか? 金岡紗矢香氏:義母は主人公を侮辱しているので、侮辱罪に該当するのではと考えるかもしれませんが、侮辱罪が成立するのは「公然と人を侮辱」した場合です。電話で暴言を受けている以上、「公然と」の要件を充たさないため、侮辱罪は成立しないでしょう。 もっとも、暴言に加えて「これ以上嫁として恥ずかしい行動をするのであれば、何もかもめちゃくちゃにしてしまいますよ」など、害悪の告知を行うようであれば、脅迫罪に該当します。 土下座や謝りに来させるなどすれば強要罪、電話によって主人公が精神的な障害を負った場合には傷害罪が成立し得ます。 また、電話によって精神的な損害を受けたということで、不法行為に基づく損害賠償請求をすることもできます。 *** 電話越しにひどい言葉を投げつけられても、「公然」には当たらないので「侮辱罪」は成立しないそう。しかし、内容によっては「脅迫罪」や「傷害罪」に該当するようなので、相手の出方を見極めつつ対処することが必要ですね。 【取材協力弁護士】 金岡 紗矢香(かなおか さやか)/弁護士法人プロテクトスタンス 弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。浮気・不倫といった男女トラブルや離婚問題、セクハラ・パワハラなどの労働トラブル、相続手続きなど、さまざまな分野に精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育てにも奮闘中(第一東京弁護士会所属)。 文=宇都宮薫