ロシアの攻撃受ける最前線都市…ハルキウの今 市長語る「地下の学校」
2月、ロシアによる軍事侵攻は3年目に入った。ロシアとの国境に近い東部の大都市ハルキウは、日常的に砲撃や無人機による攻撃の脅威にさらされている。侵攻が長期化するなか、子ども達の学ぶ場が地下に移るなど、「新たな日常」を模索する動きも。戦時下の学校教育や市民生活を守るため指揮をとるイホル・テレホフ市長がNNNの単独インタビューに応じた。(国際部・坂井英人)
■隣り合わせの「日常」と「戦争」
ロシアとの国境からわずか30キロほどに位置し、侵攻開始直後には市街戦が展開されたハルキウ。侵攻開始前の人口約200万人から大きく減ったものの、いまも約130万人が暮らすウクライナ第2の都市だ。2月、NNNの取材班がハルキウに入った際は、破壊された建物は目につかず、店舗も営業し人通りもあるなど、一見すると通常の市民生活が維持されていた。
しかし、市内を取材し始めると、生々しい攻撃の爪痕が次々に現れる。そして、直前に滞在していたキーウに比べ段違いに多い空襲警報の数が、ここがロシアの攻撃の脅威にさらされる最前線の街であることを如実に物語っていた。
■「地下」で学ぶ子ども達
ハルキウ市内では相次ぐミサイル攻撃のため学校での授業ができなくなり、全面的なリモート授業を余儀なくされている。その中で去年9月に始まったのが、地下鉄の施設に教室を設置した「地下鉄学校」だ。5つの駅にそれぞれ1クラス20人ほどの教室が複数あり、日本の小学校から高校にあたる1年~11年生、約2200人が通っている。
シェルターも兼ねた地下の教室では空襲警報も聞こえず、友達と席を並べて楽しく授業を受ける子ども達の笑顔があった。ただ、市内の学校に在籍する約10万9000人のうち、この地下鉄学校に通えるのはほんの一握りだ。 ハルキウ市は地下鉄学校に加え、より多くの子ども達が一度に通える専用の地下校舎の建設も進めている。こうした計画の陣頭指揮をとるハルキウ市のイホル・テレホフ市長が今回、NNNの単独インタビューに応じた。