ロシアの攻撃受ける最前線都市…ハルキウの今 市長語る「地下の学校」
■「子ども時代」を奪わせない・・・地下鉄学校のわけ
――なぜ「地下鉄学校」を作ったのか? ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「これは(不本意だが)やらざるを得なかったことです。我々は子ども達の学ぶ機会を確実にするために、できる全てをしなければなりません。砲撃が続き、ハルキウの空が完全に守られない現状では、子ども達がそうした学びの機会を得ることができません。だから『地下鉄学校』を作らざるを得なかったのです」 ――リモート授業ではなく、実際に通える場を作ることの意義をどう考える? ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「人生は一度きりです。敵(ロシア軍)が我々の子ども達の『子ども時代』を奪うことはできません。学校という場は子ども達にとってとても大切です。(去年)9月1日に(地下鉄)学校を開いてから、私たちは子ども達同士のふれあいを目にしてきました。最初はおびえていた子ども達が、今は全く違った姿になりました。彼らは楽しそうに、互いに関わり合っています。これは私たちにとっても非常に重要なことです」 ――専用の地下校舎も建設している。こうした地下の学校を今後も増やす? ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「残念ながら、その通りです。敵(ロシア軍)はどこにも去って行かないし、ハルキウへの攻撃はさらに頻度が高まっています。子ども達にとって大きな危険があり、命を守るためにも本来の(地上の)学校は再開できません。しかし子ども達は学ばなければなりません。今後も徐々にこうした(地下の)学校を作っていくことになると思います」
■地上で授業再開のためにも「防空システムを」
インタビュー中、テレホフ市長は地下の学校について「作らざるをえなかった」「残念だ」などと、本来あるべき学校の姿ではないとの思いを言葉の端々ににじませた。地下鉄学校には子ども達が遊ぶためのおもちゃが用意されるなど、できるだけ快適に過ごせるよう工夫がこらされているが、走り回るスペースもなく、外も見えない閉鎖的な空間だ。テレホフ市長は本来の地上の校舎での授業を再開するために最も必要なのは、ミサイルや無人機攻撃を防ぐ最新の防空システムだとして、西側に供与を求めた。 ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「『2年』という節目は2月24日というこの1日にしかありませんが、実際のところハルキウは2年間、戦時下にあるのです。静かな日は1日もありませんでした。空襲警報や、爆発のない日は1日もありません。私たちは自分たちや子ども達の生きる権利のために戦っているのです」 「我々の空を(防空兵器で)『封鎖』することは可能です。実現するためには、現代的な防空システムが必要で、世界にはそれを持つ国があり、いま非常に必要とされています」 「空を『封鎖』することができれば、人々は安全だと感じ、本物の(地上の)学校も再開できます。だからこそ、今日のハルキウが抱える第一の戦略的な課題は防空なのです」