ロシアの攻撃受ける最前線都市…ハルキウの今 市長語る「地下の学校」
■「この街は我々のふるさと」
侵攻開始前より人口が減ったものの、今なお130万人が暮らすハルキウ市。ロシアによる攻撃が日常的に行われる中、人々がこの街で暮らし続けることについてテレホフ市長は、「街の防衛能力にも貢献し、住民もそれを理解している」と話した。 ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「いままでもハルキウは快適な都市でしたし、私たちは清潔さを非常に重視しています。これは私たちの精神に関わることです。市は人々に(暮らしやすい)環境を作り出しています。戦争がもたらす諸々の恐ろしさに関わらず、暖房・温水・電気は供給されています」 「2022年2月24日以降、多くの人が街から逃れました。戦争前に200万人近かったハルキウの人口が30万人あまりにまで減った時期もありました。しかし(ウクライナ軍のハルキウ州での反転攻勢が成功したあと)人々は戻ってきました。まず第一に、この街は我々のふるさとだからです。我々はこの街を非常に愛しているのに、なぜそのふるさとを離れなければいけないのでしょう?確かに戦争が続いています。人々はこの街に暮らし続けることがお互いを助け、ひいてはハルキウやその防衛能力の支えにもなると信じているのです」 最後に、日本の支援について感謝の言葉も口にした。 ハルキウ市 イホル・テレホフ市長 「日本政府と日本の人々の支援に感謝しています。(日本は)軍事的な支援はできませんが、我々はすでに(発電機など)公共事業向けの様々な機器を受け取っています。我々の地下の学校についても、空調設備の支援について日本と話し合いが行われています。こうした支援に非常に期待しています」
■「壊れない街 ハルキウ」
「2年間、静かな日は1日もなかった」とテレホフ市長は語った。ハルキウにはあちこちに攻撃の爪痕が残り、増え続けている。にも関わらず地下鉄が運行し、インフラが機能し、130万人が暮らし続ける現実をみると、地下鉄教室に掲げられていた「壊れない街 ハルキウ」というフレーズには単なるスローガン以上の重みを感じた。 新たな地下校舎は基本的な工事が完了し、早期の運用開始を目指して準備が進められている。ロシアの侵攻によって子ども達の学びの場が大幅に制限されるなか、長期化という現実に向き合い、理想の形でなくとも「子ども時代」を守ろうとするハルキウ市の戦いは、残念ながらこれからも続くことになる。 ※インタビューは2024年2月20日に実施