気象庁「今年は暖冬にならない見通し」…〈気温〉が景気に与える影響【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
記録的猛暑となった今夏。暑すぎる気温は、景気へマイナスに働きました。マイナス影響の結果として、「秋物衣料品の売れ行きの不調」があげられます。残暑を引きずり、秋の到来も例年より遅れていますが、暑さが緩和されれば景気はプラスに作用するのでしょうか。また、今後の冬の気温は経済へどのような影響を与えるのでしょうか。気象庁の予報などからエコノミスト・宅森昭吉氏の解説をみていきます。 【早見表】毎月1万円を積み立て「預金」と「NISA」を比較…5年~40年でどれくらい差がつくか
猛暑は景気にマイナスの影響か
今夏、福岡県太宰府市で最高気温が35℃以上である猛暑日が62日になり、国内の最多記録が更新されました。暑すぎる気温は景気にマイナスに働きました。9月「景気ウォッチャー調査」で「気温」関連現状判断DIを計算すると48.1と、8月48.3から悪化し、2ヵ月連続で景気判断の分岐点50.0を下回りました。業種別の現状判断DI(原数値)をみると、秋物衣料の売れ行きが不振だった、衣料品専門店の悪さが目立ちます。衣料品専門店の現状判断DIは7月39.7、8月38.9、9月39.5と30台の低水準で推移しました。 なお、2~3ヵ月先の先行き判断での「気温」関連DIは9月56.5です。今年の秋は遅めにやってきました。この数値は、気温が秋らしくなれば、景気に対するマイナスの影響がなくなることを期待していることを示唆しています。 四国の衣料品専門店(経営者)が「気温は少し秋めいてきたようだが、長期予報によると10月はまだ少し暖かく、11月以降に気温が下がる予報である。いまより気温が少し下がれば、売上は「そこそこよくなるとみられる」と、「ややよくなる」という判断理由をコメントしています。 全国的にほぼ平年並みの寒さが予想される12月と1月の気温 気象庁が10月22日に発表した「季節予報(3ヵ月予報)」によると、向こう3ヵ月(24年11月~25年1月)の気温は、11月では寒気の影響が弱いため、東・西日本では平年並み、もしくは高いと予想され、沖縄・奄美で高い見込みとのことです。12月と1月の気温は全国的にほぼ平年並ということで、全国的に平年並みの寒さが予想されています。12月以降は、上空の偏西風は中国付近では北に、日本付近でやや南に蛇行する見通しだそうです。 シベリア高気圧は南東側への張り出しがやや強く、アリューシャン低気圧は西側で強い見込みということです。このため、12月以降は東・西日本を中心に、冬型の気圧配置の強まる時期があるという予測です。 向こう3ヵ月の降水量は、北日本の日本海側は低気圧の影響を受けやすく、東日本の日本海側は冬型の気圧配置が強まる時期があるため、平年並みが多い見込みだそうです。向こう3ヵ月間の降雪量は、北日本の日本海側で平年並みか多くなるということです。