2列目再編成の”サプライズなき”森保JはW杯アジア最終予選の前半正念場であるサウジ、豪州戦に勝てるのか?
9月シリーズでは2戦とも、今年初めて招集されたMF柴崎岳(29・レガネス)が先発フル出場した。翻って今回は東京五輪でオーバーエイジの遠藤とコンビを組んだ田中が、2019年のEAFF E-1サッカー選手権以来となるA代表復帰を果たした。 「アグレッシブにプレーできて、攻守に絡んでいける選手だと思っている。すでにA代表の経験もあるが、A代表でこれから定着していくためにまだまだ経験は浅いので、ポジションをつかみ取るというハングリーな気持ちを活動のなかで見せてほしい」 田中に関してこう語った指揮官の言葉を聞く限りでは、柴崎だけでなく中国戦でリザーブだった守田英正(26・サンタ・クララ)より序列が低い現状が伝わってくる。 ボランチだけではない。他のポジションもポジティブにとらえれば選手を信頼して石橋を叩いて渡る、ネガティブならば慎重居士になるあまりに固定化され、対戦相手国もスカウティングしやすくなる森保監督の選手起用の是非が反映されている。 フィールドプレーヤーにおいては、森保監督は[4-2-3-1]システムのもと、原則としてひとつのポジションに2人の選手を招集してきた。 最前線は1トップなので、必然的にフォワードは2人となる。9月は大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)と古橋が、今回は大迫と中国戦で追加招集されながら出場機会がなかったオナイウ阿道(25・トゥールーズ)がそれぞれ招集された。 2列目は前出の3人に加えて出場停止の伊東もサウジアラビアへ帯同させ、その上で原口元気(30・ウニオン・ベルリン)を引き続き招集。浅野拓磨(26・ボーフム)、東京五輪代表の三好康児(24・ロイヤル・アントワープ)を復帰させた。 3つのポジションに計7人を招集したのは、サウジアラビア戦で伊東が不在になる点に加えて、浅野をフォワードでも起用するケースも考えているからだろう。 右サイドバックも例外的に3人が招集された。中国戦で先発した室屋成(27・ハノーファー96)に加えて東京五輪代表の橋岡大樹(22・シントトロイデン)が復帰したのは、オーバーワークで前回シリーズを途中離脱した酒井の体調が考慮されたはずだ。 対照的に左サイドバックは3人が招集された9月シリーズから、長友佑都(35・FC東京)に中山雄太(24・ズヴォレ)の2人になった。佐々木翔(31・サンフレッチェ広島)が外れたのは、無所属だった長友がFC東京へ加入した以外にも理由がある。 戦線離脱中の久保と古橋以外で外れたのは、佐々木とDF昌子源(28・ガンバ大阪)、DF山根視来(27・川崎フロンターレ)とすべて国内組となる。これは今週末のJ1リーグ戦後に、ドバイ経由でジッダ入りする行程と無関係ではないはずだ。 ホームでオマーンに喫した黒星の原因を、森保監督は会見でこう振り返った。 「9月の戦いでは代表と所属チームの戦術的なギャップ、そして時差を含めたコンディションで日本に戻ってきて難しかった部分があった。本来の力を発揮しづらくなる状況でどのように戦うかで、絵を合わせる作業が足りなかったのは私の責任です」