【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…12月第1週の「米国経済」の動き
来年1月に迫ったトランプ氏の大統領就任を前に、「米ドル円」に対する世の中の関心がかつてないほどに高まる今日。来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて東京海上アセットマネジメントが解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
雇⽤指標は、ハリケーン等の影響剥落で概ね改善
全⽶供給管理協会(ISM)が公表した2024年11⽉のISM製造業景況指数は48.4(10⽉︓46.5)と、市場予想(47.5)を上回りました(図表1)。 11⽉はハリケーンの影響の反動に加え、ボーイング社や港湾のストライキ終結、⼤統領選挙に対する不透明感の解消などが、製造業の景況感を押し上げたとみられます。 項⽬別では、新規受注指数が50.4と景気の拡⼤・縮⼩の分かれ⽬である50(中⽴⽔準)を8ヵ⽉ぶりに上回ったほか、雇⽤指数や在庫指数等が上昇しました(図表2)。 在庫指数は9⽉(43.9)、10⽉(42.6)と低⽔準が続いていたものの、11⽉は48.1へ上昇しました。9⽉、10⽉におけるストライキの影響が剥落した可能性があります。11⽉はこうした特殊要因が⼀部反映されていた可能性があるものの、景気に対して先⾏性を有する新規受注指数が中⽴⽔準を超えた点は企業活動指数(⽣産指数)の持ち直し、すなわち製造業活動の循環的な底⼊れを⽰唆しています。 11⽉のISM⾮製造業については52.1と、市場予想(55.7)を⼤きく下回ったものの、これまで続いた上昇に対する反動の範疇であり、依然としてサービス需要の底堅さは維持されていると考えられます。
最大の焦点はFOMC
⽶経済の底堅さを⽰す指標が相次ぐなか、最⼤の焦点は17、18⽇に開催されるFOMCとなります。前述の通り、市場が織り込む利下げ確率は70%(6⽇執筆時点)となっており、11⽉の雇⽤統計(6⽇公表)やCPI(11⽇公表)などが相応に強い結果とならない限り、12⽉会合で追加利下げが決定される可能性が⾼いと考えられます。 今週は11⽉の雇⽤統計の結果を予想する材料として、10⽉のJOLTS(雇⽤動態調査)や11⽉のADP雇⽤統計などの経済指標が公表されました。まず、⽶労働省が公表した10⽉のJOLTSでは求⼈件数が774.4万件と9⽉(737.2万件)、市場予想(751.9万件)ともに上回りました(図表3)。 求⼈件数の下げ⽌まりを判断するには時期尚早であるものの、労働需要の⼀段の減速を回避した点はポジティブといえます。また、離職者のうち、⾮⾃発的離職者数は9⽉の180.2万⼈から10⽉に163.3万⼈へ減少しました。企業が雇⽤の増加に慎重な姿勢を維持するなかで、⼤規模なレイオフを回避している状況にあります。なお、⽶労働省が公表した週次の新規失業保険申請件数も10⽉以降、失業者が減少傾向にあることを⽰しており(図表4)、この点は11⽉雇⽤統計の失業率が低⽔準を維持する可能性を⽰唆しています ⼀⽅、11⽉のADP雇⽤統計については⺠間雇⽤者数が前⽉差+14.6万⼈と、10⽉(同+18.4万⼈)を下回りました(図表5)。 11⽉雇⽤統計における⾮農業部⾨雇⽤者数は前⽉差+22.0万⼈と、ハリケーンやストライキの影響により急減した10⽉(同+1.2万⼈)から⼤幅増となることが予想されています。11⽉の雇⽤統計で雇⽤の急回復が⽰され、12⽉会合での利下げ停⽌や先⾏きの利下げペース減速といった⾒⽅が強まるか注⽬されます。 東京海上アセットマネジメント ※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…12月第1週の「米国経済」の動き』を参照)。
東京海上アセットマネジメント株式会社
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