天皇陛下とアフリカ 子どもの頃からの“親しみ”【皇室a Moment】
天皇陛下:「アフリカの国の中には,私が生まれた1960年に独立した国も多くあります。誕生の年を同じくしたり,また,その前後に誕生した国が多くあるという点でも,私は以前からアフリカの諸国に親しみを持ってきました」 陛下が生まれた1960(昭和35)年は、アフリカで民族の独立ラッシュが起きた「アフリカの年」と言われ、ガーナは1957年、ケニアは1963年と、60年前後に独立しています。
その1960年には上皇ご夫妻がアフリカのエチオピアを訪問されています。会見でも陛下は、上皇ご夫妻から現地の話をいろいろ聞いたことを振り返られました。さらに、64年東京五輪のマラソン競技でエチオピアのアベベ選手が活躍したことや、70年の大阪万博でのアフリカ諸国のパビリオンがアフリカとの出会いだったと振り返られています。 ――天皇陛下は、いろんなことに関心をお持ちの方ですけれども、誕生の年が同じというのは、思いの強さがうかがえますね。 そうですね。ご縁でしょうね。
また“水問題”への関心もあります。陛下はケニアで日本の支援で作られた稲作灌漑施設も視察されました。陛下が国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁として“水の問題”に取り組まれていた頃で、立ち後れたアフリカに強い関心を持たれていました。 ――ご縁だけではなく、社会課題の関心という意味でも、アフリカとの結びつきは強いですね。 そうだと思います。
陛下は、地球温暖化が進むなか、ケニアの大自然を保護する努力が重要であることを英語で訴え、最後に現地の“ことわざ”をスワヒリ語で引用されました。 天皇陛下:「Hamjambo!(皆さんお元気ですか)」 「Habari gani?(お変わりございませんか)」 「山と山は(動けないので)会うことができません。しかし,私たち人間は(動けるので)会うことができます」 そしてケニア山と富士山という2つの山を誇りに思う私たちが会うことで、両国の友好関係が一層深まることを願う、と締めくくられました。 ――陛下のスワヒリ語に歓声が上がっていましたね。 自分たちの言葉で、聞かれる方々もうれしかったんでしょうね。陛下はかなり練習されて臨まれたと思います。