【潜入ルポ】土佐熟女が「秘密の技」をほどこす、泊まれない旅館……高知「玉水新地」の存在理由を考える
いかがわしさのない街並み
現役で営業している旧遊郭は「見えない結界」が張られていて、一帯に入ると日中でもピンとした空気が張り詰めていることが多い。徳島の秋田町遊郭が代表例だ。 どこかで誰かが見張っているような感覚。「ここは冷やかしで来るところじゃないんだよ」という雰囲気で満たされているのだ。 だがこの玉水新地一帯に特にいかがわしい空気は感じない。付近にはアパートや一軒家などが立ち並び、歩いてすぐのところにはスーパーマーケットもある。住民も普通に歩いており、新地のある通りは車がひっきりなしに通り過ぎていく。 いい意味で街に溶け込んでいるのだ。高知という街の性格がそうさせるのだろうか。夜になるとまた雰囲気が変わるのかもしれないが。
にこやかに迎えられて
ひろめ市場で酒とカツオを嗜み夜を待つ。夜22時、再び玉水新地に赴く。 夜の玉水新地はさすがに日中とは違い妖艶な雰囲気が漂う。4軒のうち2軒の営業を確認。うち1軒は扉が半開きになっていて、暗闇に部屋の光が一筋漏れ出している。 ポン引きがうろついていたり、店前にパイプ椅子を出して婆さんが客引きしたりということはなさそうだ。こうなると旅館への直接訪問しかない。 上側の1軒への潜入を決め、意を決して玄関のチャイムを鳴らす。この瞬間はいつになっても緊張する。 「すみません、やってますかね?」 「はいどうぞ、お上がりください」 この店のママだろうか。推定50歳前後のにこやかなマダムが出迎えてくれた。 「金額を聞いてもいいですか?」 「んーとね、30分だと1万円。40分だと1万4000円」 以前は30分8000円だったと認識していたが、どこかのタイミングで値上がりしたのかもしれない。 「じゃあ30分でお願いします」 「今いる子がね、私ともう1人の子」 出迎えてくれたマダムはこの店のママではなくなんと嬢であった。でも他にどんな人がいるのか気になって、もう1人の嬢をチョイスしてしまった。別にこの人があまり良さそうじゃなかったというわけではない。 「じゃあちょうど1万円で」 「ありがとうございます。上に上がってお待ちください」