天皇ご一家と那須~リフレッシュと触れ合いの地~【皇室 a Moment】
ご一家が、出迎えの人たちに近寄って、また交流されるようになったのは2016(平成28)年の夏からです。ちょうど愛子さまが両陛下の公務に同席されるようになった頃にあたります。 ――愛子さまのご成長に合わせてという形で、昔から駅での交流が続いてきたわけではないんですね。
再び冒頭でご紹介した2019年の様子です。私も現地におりましたが、気温31度、両陛下は相手の目の高さに合わせてしゃがんだり、中腰になったりを繰り返し、汗をハンカチでぬぐいながら、多くの人と30分ほど触れ合われていました。印象深かったのは、しゃがんでいる眼鏡をかけた女子高校生とのやりとりです。 女子高校生)「『何年生ですか』という質問をいただいて、『高校3年生、受験生です』と話したら、『じゃあ娘、(愛子さま)と一緒ですね」と。1週間後に私もテストを控えていて、『私もです』と愛子さまが、すごい優しい笑顔で『一緒です、頑張りましょう」みたいな感じで言ってくれて」 ――同年代の女の子との本当にほほえましいやりとりですね。 静養先の触れ合いは、このように堅苦しくなく、とても自然で、いい雰囲気です。今年は、厳しい警備で金属探知機も登場しましたが、ご一家は夏休みや宿題の話で子どもたちと積極的に触れ合われました。こうした触れ合いが自然な形で、長く続いてほしいと思います。 【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。