天皇ご一家と那須~リフレッシュと触れ合いの地~【皇室 a Moment】
■2011年に公園として解放された北半分
一般の人が御用邸の自然に触れることが出来る森があります。2011(平成23)年5月、御用地の北半分の約570ヘクタールが宮内庁から環境省に移され、日光国立公園の「那須平成の森」として開園しました。 これは、上皇さまの「国民が自然に触れ合える場として活用してはどうか」という提案によるもので、上皇ご夫妻はその年にこの森を訪ねて散策されました。 ――上皇さまも歩かれたのかと想像しながら、御用邸の自然を私たちも楽しめるというのはうれしいですね。
■昭和天皇は毎年2か月近く滞在、政府の決裁書類は那須に運ばれた
今は東北新幹線で東京から1時間の那須塩原駅ですが、昭和天皇の頃は、東北本線の黒磯駅が最寄り駅でした。原宿の「宮廷ホーム」から「お召し列車」に乗って当初は3時間、その後、速くなりましたが、2時間かかっていました。
2005(平成17)年9月には、上皇ご夫妻が、結婚前の黒田清子さんと、在来線の上野から黒磯まで、「お召し列車」の旅を久しぶりに楽しまれています。 JR黒磯駅には貴賓室がありまして、現在も残されています。
昭和天皇はこの那須を好み、毎年の夏、2か月近く滞在して植物調査にあたっていました。その間、政府の決済書類が東京から那須へ運ばれ、認証官任命式なども御用邸で行われていました。
腸の手術を経て、最後の静養となった1988(昭和63)年8月には、東京での「戦没者追悼式」のために政府専用のヘリコプターで往復しています。それが天皇として出席した最後の公式行事になりました。
■愛子さまの誕生で始まった触れ合い
那須塩原駅の触れ合いですが、昔から行われてきたわけではありません。ご結婚後しばらくは、両陛下は人々に手を振るとすぐ車に乗られていました。ところが2001年に愛子さまが生まれると、自然発生的に、愛子さまを抱いた両陛下が出迎えの人たちに声をかけられる機会が見られるようになりました。
その後、皇后さまが療養に入られ、また愛子さまが恥ずかしさを感じるようになって、再び駅前でのお声かけはなくなりました。