岸田総理の「ヤケクソ解散」と永田町を駆け巡った「7月解散メール」...総理の「誇大妄想」に麻生太郎が大慌て
不気味な「7月解散」メール
〈岸田(文雄)総理と山口(那津男)代表が、6月23日までの国会会期を2週間ほど延長したのち、7月の会期末に解散を打つことで合意した〉 【一覧】「裏ガネ総選挙」で落選する議員の全実名はこちら…! 5月16日夜、こんなメールが与党関係者の間で出回り、政界に戦慄が走った。公明党の山口代表が首相官邸を訪れ、政治資金規正法の改正について協議した2日後のことである。 「このメールのもともとの作成者は不明で、最初は怪文書の類いではないかと受け止められましたが、メールには7月23日公示、8月4日投開票と具体的な日付まであり、情報に信憑性がありました」(自民党閣僚経験者) 自民党と公明党は、政治資金規正法改正案の共同提出をめぐって交渉が決裂。結局、自民党は単独で改正案を出すハメになった。関係が冷え込んでいるこのタイミングで、山口代表が岸田の解散提案に同意したとはにわかには信じがたい。 しかし、このメールによれば改正案を巡る「自公決裂」も、「7月解散」への布石になるという。 「会期ギリギリで自民党が公明党案を丸呑みして法案成立にこぎつけ、公明党に手柄を取らせて解散に踏み切る……と記されていたのです」(同前) 岸田総理はやはり解散をあきらめていなかったのか―たった一本のメールによって、永田町は一気に緊張に包まれた。
岸田総理が頼る「北との交渉ルート」
この7月解散説を裏付けるかのように、岸田は突如、精力的に動きだした。外務省幹部が語る。 「総理はいま、6月中に日朝首脳会談を実現させるようにと、しきりに外務省の尻を叩いています。外務省が頼りにしている北との交渉ルートから『拉致被害者2名と引き合わせることが可能』との情報がもたらされているからです」 訪朝さえ成功すれば支持率は急上昇する。そうすれば選挙に勝てる―岸田の描く「シンプルな生存戦略」だ。 しかし、これらはすべて「もしも」を前提とした計画だ。訪朝実現の可能性はあまりに低く、公明党が自民党の案に乗ってくるとも限らない。 そんな妄想を掻き消さねばと岸田の解散に待ったをかけているのが、麻生太郎副総裁だ。 岸田自民が選挙で大敗すれば、岸田の後ろ盾である麻生も主流派から転落しかねない―そんな危惧を抱いている麻生は解散せずに内閣改造人事を行い、刷新感を出して総裁選に打って出るというシナリオを描いている。 「麻生さんは岸田さんに『石破茂も閣内に取り込んで身動きを封じてしまえばいい。支持率アップも見込めるぞ』と囁いています」(自民党幹部) 結局、本人がどれだけ望んでいようがこの状況では解散など打てまい。麻生に縛りつけられた岸田はもう死に体だ―そんな気配を感じ取ったのか、永田町では「ポスト岸田候補」が一斉に蠢き出した。 後編記事『石破茂と山崎拓が「料亭会合」の中身を大暴露! 本当は呼ぶはずだった「総理候補」の名前』へ続く。 「週刊現代」2024年6月1日号より
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