なぜ鹿島アントラーズは柳沢、小笠原、相馬、中田ら”レジェンドOB”をスタッフに集結させたのか?
ゴールを奪うだけでなく、周囲を生かす術にも長けた万能型のストライカーとして日本代表でも活躍した柳沢敦氏(43)が、今シーズンから古巣・鹿島アントラーズのユース監督に就任することになった。 クラブ創設30周年の節目を迎える2021シーズンの新体制事業が発表された26日に、鹿島の小泉文明代表取締役社長が明らかにした。ベガルタ仙台でプレーした2014シーズン限りで現役を退き、翌シーズンから鹿島で指導者の道を歩み始めていた柳沢氏にとって初めて挑む監督業となる。 「アカデミーにおいては、これまでOBやクラブレジェンドをスタッフとして継続的に登用して、フットボールの質を高めて強化をしてきました」 オンライン形式で行われた新体制事業発表会見で、小泉社長はこれまでアカデミーが歩んできた流れを踏まえながら、レジェンドの一人である柳沢氏のユース監督就任に象徴される、鹿島出身者をさらに積極的に登用していく意義を、Jリーグを代表する常勝軍団の歴史に重ねながら説明した。 「アントラーズのこれまでの30年を支えてくれたOBの方々のノウハウであるとか知識、経験を生かして、次の30年、50年、100年と続く強いアントラーズを作るべく、アカデミーを含めたフットボールの質を全体的に強化していきたいと考えています」 トップチームへ直結するユースは、ともに昨シーズン限りで引退したGK曽ヶ端準とMF野沢拓也をはじめ、今シーズンの所属選手ではMF土居聖真を筆頭に沖悠哉、山田大樹の両GK、ルーキーのMF舩橋佑を輩出。ベルギーリーグでゴールを量産している、24歳のFW鈴木優磨(シントトロイデン)も小学生年代のスクールから鹿島ひと筋で育ち、2015シーズンにユースから昇格した。 次世代のホープを育てる大役を新たに担う柳沢氏は、13ものJクラブが争奪戦を繰り広げたなかで、富山第一高から1996シーズンに鹿島へ加入。セリエAのサンプドリア、メッシーナでプレーした約2年半をはさんで2007シーズンまで在籍し、11個のタイトル獲得に貢献した。 当時30歳だった柳沢氏は出場機会を求めて2008シーズンから京都サンガF.C.へ、2011シーズンからは仙台へ移籍。J1でマークした通算108ゴールのうち「80」を鹿島時代に決めたキャリアを残して引退し、2015シーズンからはトップチームのコーチとして8年ぶりに古巣へ復帰した。