バイデン米大統領、日本製鉄のUSスチール買収計画阻止へ-関係者
林芳正官房長官は5日の定例会見でこの件について、「個別の企業の経営に関する事案であり、コメントを差し控えたい」とした上で、「日米相互の投資の拡大を含めた経済関係の一層の強化、インド太平洋地域の持続的・包摂的な経済成長の実現、経済安全保障分野における協力などは互いにとって不可欠だと認識している」と語った。
「深刻な疑問」
ここ2週間には同買収計画を巡りさまざまな動きが見られた。日鉄は買収を計画するUSスチールの製鉄所に総額13億ドルの追加投資を行うと発表。買収完了後、同社の取締役の過半数を米国籍とする方針も示した。
またUSスチールは4日、日鉄による買収が不成立になった場合は数千人の労働組合員の雇用がリスクにさらされると警告。破談となった場合は本社がピッツバーグに残れるかどうか「深刻な疑問」が生じるとした。
バイデン大統領はかねてUSスチールは国内で所有・運営されるべきだと公言しており、民主党大統領候補ハリス副大統領も2日、同じ立場を表明した。共和党大統領候補のトランプ前大統領も大統領に返り咲いた場合はこの取引を阻止すると明言している。
過去、大統領がこのような買収案件を差し止めた例はほとんどない。買収計画の支持者らは中国と競合可能な規模の企業の誕生につながることなどを強調し、同盟国の日本の企業による買収案を拒否すべきでないと主張している。
CFIUS審査の進捗(しんちょく)状況やスケジュールについてのヒントが示されることはほとんどなく、決定内容や決定を下したのかどうかは不明だ。
原題:Biden to Block Nippon Steel’s Proposed Takeover of US Steel (4)(抜粋)
--取材協力:Sana Pashankar、Doug Alexander、長谷部結衣、広川高史.
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Josh Wingrove