和歌山・アドベンチャーワールド、パンダの食べ残しの竹でアオリイカの産卵場を。南紀白浜の「海再生プロジェクト」3年目開始
アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)は、2024年6月26日、パンダが食べ残した竹の枝葉を活用し、白浜町伊古木漁港にアオリイカの産卵床20基を設置した。 【写真】竹(孟宗竹)で作った産卵床 * * * * * * * アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)は、2024年6月26日、パンダが食べ残した竹の枝葉を活用し、白浜町伊古木漁港にアオリイカの産卵床20基を設置した。 里山の竹を伐採し、パンダに提供した後の食べ残しを海に沈めることで、海藻類が減少する白浜の海にに産卵場を作る。 この取り組みは2022年に開始され、今年で3年目となる。過去2年の成功例を基に、今年はさらに京都大学白浜水族館との連携を強化。孵化したアオリイカを展示・放流する予定だ。 この活動の背景には、近年、黒潮の大蛇行などの影響で白浜の海の生態系が変化し、アオリイカが産卵する海藻類が減少していることがある。 この問題解決のため、里山を荒廃させる竹を伐採し、パンダの食事として与え、さらにその食べ残した竹の枝葉を活用して産卵床を作成。生物の減少が見られる海へ設置するという、自然環境の保全と、地域社会の連携を強化するプロジェクトが始まった。
今シーズンは、アオリイカの産卵が確認された場合、京都大学瀬戸臨海実験所の協力のもと「京都大学白浜水族館」の水槽で展示し、孵化後海へ放流することも計画している。 また、昨シーズン竹の産卵床に海藻が着生したが、その原因や海藻の種類の調査を行う機会が無かったため、今シーズンは京都大学瀬戸臨海実験所と協力。着生する海藻や生物のモニタリングと種の同定を行い、海藻が減少した海に対する、産卵床の効果を探る。 産卵床には孟宗竹、矢竹が使用され、6月26日に20基を設置。今シーズン中に合計60基を設置予定。 アドベンチャーワールドでは現在、4頭のジャイアントパンダを飼育中。その食事となる良質の竹確保のため、2005年より竹林の整備に取り組む岸和田市との連携を開始、年間約8tの竹の枝葉をパンダの食事として活用し、竹林整備と山の環境保全に貢献している。 しかしその反面、パンダが食べ残した竹や、パンダの食事として使用できない部分の廃棄という矛盾や課題が残っていた。この課題解決のため《パンダバンブープロジェクト》を開始。廃棄していた竹の幹や食べ残した竹、糞を有効活用し、バンブーカップなど企業とのコラボ商品の開発や、モバイルワーケーションスポットの設置などを行っている。 今回のアオリイカの産卵床設置も、このパンダバンブープロジェクトの一環となる。
「婦人公論.jp」編集部
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