生活保護を受給していた78歳の父が“腐敗した状態”で発見。納骨までにかかる「驚きの金額」と、実娘が知った福祉葬の実態
おひとりさま世帯が増えている。警察庁が8月に発表した今年の上半期(1~6月)に自宅で亡くなった一人暮らしの人の数は、全国で計3万7227人(暫定値)にものぼるという。自由気ままで、他人に縛られないのが一人暮らしのメリットだが、政府は孤独死、孤立死対策に本腰を入れ始めている。 筆者の父78歳は、2024年8月10日に孤独死をしている。「日刊SPA!」にて《「腐敗した体にウジ虫が…」夏場に孤独死した78歳の父。1か月放置された“アルコール依存と認知症”の最期》に詳しくまとめた。 ⇒【写真】分骨したお骨 父が生活保護を受給していたことで、葬祭扶助制度を利用しての福祉葬だったので、かかった値段は分からなかった。その値段や内幕を、東京都世田谷区北沢で佐藤葬祭を営み、葬祭系YouTuberとしても活躍する佐藤信顕氏(@satonobuaki)に聞いた。
「孤独死は孤独じゃないですから!」
今回の取材に先立って、まずは父の“孤独死”についてうかがおうと思った。すると、佐藤氏から「私は、親族が孤独死をしたという遺族の方には『孤独じゃないですから!』と言うところからスタートします」と返ってきた。 「法的には“変死(死因が不明な場合、事故や事件性のある最期を迎えた場合、病院以外の自宅療養などで、かかりつけの医師がいない場合)”の中で、単独で亡くなった場合を孤独死と呼びます。ですが、孤独死というのは、大手マスコミが平成くらいに作った言葉です。法律用語ではありません。地方から泣きながら『母ちゃんが孤独死した! 東京に向かっている』と電話してきた友人がいますが、そんな息子がいる人が“孤独”ですか? 故人の死を“孤独”だと決めつけるのは、尊厳に関わる問題です」 病院やかかりつけ医がいない状態で亡くなると、発見がどんなに早くても変死扱いとなる。佐藤さんは、そういった人たちの死を、孤独死ではなく「発見遅延死」もしくは「独居死」と呼ぶ。 「遺族は孤独死“させちゃった”と思うでしょう。遺族心情に配慮していない呼び方だと思います。元気がない人は、病院に入院か、施設に入所させられているはずなので、一人暮らしのまま孤独死はできないはずです」 親を孤独死させちゃったと思い、罪悪感に苦しんでいた筆者は、冒頭の話でとても気が楽になった。父は自転車で15分の距離をこいで筆者宅に来ていた。元気だったからこそ、足腰が弱ったとはいえ、通院も自力でできていた。