「右の親指が上にきたら左脳タイプ」右脳派、左脳派に根拠はあるの?
人生は自分で決めるもの、風説に惑わされないで
――脳半球の片側ばかり使う「くせ」のようなものはないのでしょうか。 脳のどちらかばかりをよく使うという考え方には、疑問を感じます。言葉をつかさどる中枢神経が左側に多いなど、「機能局在」といって部位によって役目が分かれているのは事実ですが、基本的に私たちは右脳と左脳をうまく連携させて何かを想像したり、手足を動かしたりしています。 脳というのは非常に複雑です。どこかの部分だけが働き、どこかの部分がさぼっているという、極端な構造ではありません。 ――ですが実際に、想像力の豊かな人、そうでない人に違いがあります。 それは脳のつくりというよりも、いままでの経験や教育による思考のくせだと考えられます。 たとえば何かを生み出すなりわいなら、多くの時間を使って想像力を働かせています。その作業を繰り返しているうちに、どんどんクリエイティブな能力が高まってくるというわけです。 もちろん、それぞれ得意、不得意はあるでしょう。だからと言って「自分は右脳派だから」「左脳派だから」と決めつけ、可能性を狭めてしまうのはどうなのでしょうか。現在、多様な分野で活躍している人たち全員が「才能ありき」だったわけではありません。努力して、経験を積み重ねていまの立場にいる人だっています。 右脳派、左脳派について、占い感覚でポジティブな部分だけ抜き取って楽しむならともかく、深刻に受け止めてしまうなら問題です。そんな声に惑わされず、やりたいことに向かって頑張ってほしいと個人的には思います。 ――菅原先生、ありがとうございました! 【菅原通仁医師 プロフィール】 1970年埼玉県生まれ。杏林大学を卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの緊急医療現場を経験。一人ひとり責任をもって診察するために2015年、東京都の八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器をそろえた菅原脳神経外科クリニックを開業。「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。 ※この記事は菅原通仁医師の見解に基づいて作成したものです。 ※「主治医が見つかる診療所」より
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