「投資の神様」はなぜ、米国株を大量売却しているのか? 株価絶好調の裏でささやかれる危険シグナル
各種経済指標が良好
ダウ工業株30種平均が連日最高値を更新するなど、株式市場が絶好調だ。各種経済指標が良好で、主力株への買いが継続している。S&P500も初の6000ポイント台に乗せてくるなど米国株の時価総額は拡大の一途だ。米国の投資家のマインドは強気ムードに支配され、ハードランディングでもソフトランディングでもない“ノーランディング論”まで出回っている。ノーランディングとは、金利を引き上げて景気を抑制する金融政策を行いながらも、景気が減速することなく成長が続く状態をいう。 【画像を見る】「投資初心者」が成功するための“鉄則”とは ***
経済部記者がこう指摘する。 「今月1日に発表された雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったものの、それはハリケーンによる影響が大きいと判断されました。その上、失業率は今回4.1%と横ばいになったことで、市場に安心感を与える結果となっています。また、26日発表の11月の米消費者信頼感指数も、10月から改善し米景気の底堅さを示したとの見方から、株式が買われて最高値圏に達したのです」 しかし、超楽観論とは裏腹に「暴落が近づいている」という悲観論が聞こえてくる。その根拠となっているのが、米最大の投資家として知られるウォーレン・バフェットの行動だ。「投資の神様」と呼ばれるバフェット率いるバークシャー・ハザウェイ社が、アップルやバンク・オブ・アメリカの株式を大量売却し、手元現金が過去最高の50兆円に膨れ上がっているという。これは近い将来に株価が急落することを見越した上での行動とみられているのだ。 「市場では株価の割安・割高を示すバフェット指数という指標があり、こちらも過去最大を記録しています。バフェット指数の計算式は『当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100』で、バフェットが株式の売買の参考にしているともっぱらの噂です。その指標が100を超えると割高とされ株価が急落する可能性があるといわれています。現在、その値が過去最高となっていて、明らかに危険信号です」(前出の経済部記者)。 大統領選挙でトランプが当選したことで株式市場ではトランプラリーが続いているが、バフェット指数を重視する一部投資家は「極めて危険」「暴落の危機」などとSNSで警鐘を鳴らしている。それにしても米国市場の空前の過熱感はいったい何が理由なのか。