「投資の神様」はなぜ、米国株を大量売却しているのか? 株価絶好調の裏でささやかれる危険シグナル
借金の急激な増加
「最大の原因は債務、つまり借金の急激な増加です。米国の連邦債務は2018年の約20兆ドルから24年に35兆ドルを超えてしまいました。国債の発行で毎月2000億ドルものマネーがばらまかれて、市場はカネ余りのジャブジャブ状態となっています。買うから上がる、上がるから買うという投資家行動は明らかに正常ではありません。まるで日本のバブル時代を見ているようです」(証券アナリスト) 確かにアメリカの経済指標の好調とは裏腹に、世界経済には暗雲が漂っている。 「ドイツでは自動車大手のフォルクスワーゲンが国内工場の閉鎖を決断しました。欧州市場の自動車需要の落ち込みや中国のEVメーカーとの競争激化で、経営不振に陥ったためです。工場閉鎖は1937年の創業以来、初めてというから大事件です。その中国も不動産バブル崩壊が深刻化。株式高騰のメイン舞台となっている米国でも、じわじわと失業率が上昇したため、FRBは予想を超える50ベーシスポイントの利下げに追い込まれました。景気の先行きがすべてバラ色というわけではないのです」(前出の証券アナリスト) 一方、日本国内に目を移せば多くの個人投資家が新NISAの購入に余念がなく、米株暴落危機の声の中にあっても“ガチ保”(ガチで保有し続ける)を貫く人も多い。暴落に備えてとるべき行動とは? 「株価の行方を予想するためには、常に米国株式市場の動向を確認する必要があります。最近は乱高下する日が多いのでなおさらです。もう1つは為替市場のドル円レート。円高方向に振れると、トヨタ自動車などの株価はさえない動きとなります。投資アドバイザーの中には1円の円高円安で最近の日経平均は300円ほど上下するとの解説もあります。これら2つの指標をウォッチングすることが大切です」(前出の経済部記者) 新大統領に就任するトランプは米製造業の復活のため極端な円安ドル高は修正すべき、との立場だ。就任後、トランプがどのような政策をとるのか、こちらも注視が必要だろう。 デイリー新潮編集部
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