MQA、新たな高音質化技術「QRONO」。DAC性能を引き上げる「QRONO d2a」とDSD-PCM変換「QRONO dsd」
カナダのトロント - レンブルック・メディア・グループ内のオーディオIPチームであるMQA Labsは、新たな高音質化技術「QRONO」製品ラインを発表した。MQAがハードウェアパートナーやライセンシーに提供するソリューションとして展開する。 「QRONO」は、DSD-PCM変換技術「QRONO dsd」と、MQAが“あらゆるDACから最高のオーディオ性能を引き出す”と説明する「QRONO d2a」から構成される。 両技術とも、欧米で今月発売されるBLUESOUNDの最新ネットワークプレーヤー「NODE ICON」に搭載されている。 MQA Labsのエンジニアディレクターであるアル・ウッド氏のコメントは以下の通り。「伝統的なデジタルフィルターの課題はよく知られています。QRONOは、私たちのハードウェアパートナーもしくはライセンス事業者に対して、適切なソリューションを提供します」。 ウッド氏はQRONO d2aについて、「私たちは、基本的な信号処理技術を緻密に適用する方法に集中しました。これらの信号処理技術はフィルター、ノイズシェーパーなどを含んでおり、DA変換時におけるインパルス応答と透明性を全体にわたって改善し、DACチップから最高の性能を引き出すことができます」と説明する。 またQRONO dsdについては、「DSDに対しては、録音時におけるわずかな時間軸方向の情報量を保存するため、可能なかぎり軽いタッチで処理しています」と語る。 これらの技術によりウッド氏は、「BLUESOUNDの『NODE ICON』に導入することで、オーディオ再生のレベルを次の次元に引き上げられると確信しています。QRONOは、最高グレードのアナログシステムを超えるタイムパフォーマンスを可能にします」。 MQA Labsのビジネス開発ディレクター、アンディ・ドウェル氏のコメントは以下の通り。「人間の聴覚は、これまで考えられていたよりさらに精密である、ということがわかってきました。とくに細かい細部を聴き分ける際にはとても顕著です。MQA Labsの専門的知見は、音楽再生を進化させると共に、テクノロジーの発展を通じて、HiFiオーディオ産業を豊かなものにしようとするLenbrookのビジョンをさらに深めることができます」。 MQAは、大容量のハイレゾデータを小さく“折り畳み”、信号伝送をより容易にする“オーディオ折り紙”を開発し、TIDALのストリーミングサービスやMQA-CDなどに採用されてきた。一方で音質面などへの課題も指摘され、複数のオーディオメーカーから反対意見も上がっていた。 MQA Labsは2023年にBLUESOUNDの親会社であるLenbrook社に買収され、新たな体制での技術開発をスタートした。今年6月には、ハイレゾダウンロードサイトのパイオニアとして知られるHDtracksと組んだストリーミングサービスの提供も発表している。
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈