竹刀で子どもを叩き続けるのは「愛のムチ」なのか…スポーツが「暴力の温床」になってしまう根本原因
■海外から評価が高い日本人の礼儀正しさ 筆者は2017年から5年ほどオランダに在住した。その頃は教育移住がブームで、オランダの教育を求めて移住を決意する家族も多かったように思う。しかし、長くオランダに住む日本人家族からは「初等教育はやはり日本がいい」との声をよく聞いた。 オランダ人の友人からは「日本の子どもたちは、きちんと整列して先生の話を聞くよね。すごいと思う」と言われたことがある。この礼儀正しさは剣道だけではなく日本のスポーツ全体に共通しているようにも思う。 剣道においては、人が話しているときにその人の目を見て話を聴けて、集中すべきときに集中できること。物に対する感謝の気持ちを持って、丁寧に扱えること。礼儀作法だけではなく、さまざまなことを剣道を通して学べ、それは他国でも評価されている。 ■本来、スポーツは人生を豊かにするもの 2024年7月にイタリアで開催された世界剣道選手権大会には61カ国が参加。漫画やアニメの影響、日本文化への興味から軽い気持ちで始めたものの、その奥深さや日本人の精神性に触れ、どっぷりとハマってしまったという声もよく聞く。最近では子どもの頃から剣道を習う海外剣士も増え、長期の休みを利用して、わざわざ防具を持って日本に出稽古にくる。 参考:武士道に魅せられる「外国人剣士」が増加中…29カ国102人に聞いた「剣道が愛される3つの理由」 剣道には「師弟同行」という言葉があって、指導者と教え子が一体となって修行を続けていく文化がある。師弟だけではなく、子がきっかけで剣道をはじめた保護者も「自分自身も成長できた」ということがある。剣道に限らず、武道やスポーツは何歳になっても人は成長できると教えてくれて、人生を豊かにしてくれる。 他国からもその精神性が評価されている日本の運動文化を、より高めて未来に渡すためにも、スポハラについて真剣に考えるときなのではないだろうか。 ---------- 佐藤 まり子(さとう・まりこ) ライター 明治大学卒業後、IT企業や楽天株式会社を経て独立。Webサイト構築やマーケティング業務に従事。2017年からはオランダに移住しオランダ企業や海外剣道、日本の武道ツーリズム取材などを開始。剣道歴25年、五段。 ----------
ライター 佐藤 まり子