ポップカルチャーについてじっくり考えたくなる3冊。
『K-PUNK 自分の武器を選べ──音楽・政治』 マーク・フィッシャー(著) 坂本麻里子、髙橋勇人、五井健太郎(訳)
「K-PUNK」と言っても、韓国パンクのことじゃない。20世紀初頭のイギリスを舞台に、カルチャーを通して現代社会について批評し続けた故マーク・フィッシャーのブログ名だ。本書にはその中から選び抜かれた、音楽と政治にまつわる文章を収録。とりわけドレイク論「すべてを持っている男」は、ケンドリック・ラマーとのビーフを経た今読むと味わい深い。¥3,630/Pヴァイン 7月はこんな本を読もうかな。
『SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望』 河原梓水(著)
「その表紙に触れるだけでも戦慄が走る一種危険な雑誌」と呼ばれた、戦後アングラマガジン界の金字塔「奇譚クラブ」。同誌を始めとする戦後風俗雑誌7誌を前号通覧した上で跡付けられるのは、戦後日本においてサディズム&マゾヒズムが、いかにして根を下ろし、いかなる欲望として捉えられていたか。『BURST』的サブカルが一部で再勃興しつつある今だからこそ手に取りたい。¥3,300/青弓社
『非美学 ジル・ドゥルーズの言葉と物』 福尾 匠(著)
『眼がスクリーンになるとき ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』で、哲学者ドゥルーズの『シネマ』を”非”シネフィル的に読み抜いた若き俊英が、博士論文をベースにして弩級の一冊を書き上げた。またしても”非”を旗印に取り組まれるのは、ドゥルーズにおける芸術との特殊な向き合い方としての”非美学”。なかなかハードルは高いが、芸術を志す人はもちろん、「将来はクリエイティブな仕事に就きたいんですよね~」と呟いたことがある人にも、何かしら響くところがあるはず。¥2,970/河出書房新社 text: Keisuke Kagiwada
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